厚労省が改正案を出す狙いは、これまで対策をとっていない小規模事業者などにメンタルヘルスへの取り組みをさせることです。ただ、従業員数が50人未満の会社は、産業医などいないし、長時間残業の社員を医師と面接させることなど考えもしていないはず。法案が成立したからと言って、十分な対応ができるか疑問です。
そこに諸問題が出てくる可能性があります。国ではなく民間の立場でサポートする仕組みが必要になるでしょう。すべての小規模事業者への対応はできませんが、前向きな経営者たちだけでも手助けできるような事業化を考えていくべきだと思います。
企業のメンタルヘルス
取り組む事業所は47%
――法律が施行されても、守らない事業主が大半ではないでしょうか。厚労省では年1回義務付けている健康診断時にストレスチェックをやればいい、難しい事ではないと言っています。しかし、健康診断自体を実施していない会社も多く罰則もないので、どこまで浸透するのかわかりません。
想定されるストレスチェック表
拡大画像表示
拡大画像表示
佐藤:法律ができることで、何もしてこなかった事業者にも動きが出てくるはずです。法改正の考え方ですが、簡単に言えば国が事業者にボールを投げたということ。事業者がストレスチェックや医師面接をさせなかったとしても罰則はありませんが、結果としてそれは法律違反になります。
国は労働者を守るために事業者がやるべきことを定めようとしています。その根幹は、単にストレスチェックをやれということではなく、その後に医師面接の実施を盛り込んだこと。そこで早期発見し労災を発生させないようにすることです。事業者は予防、教育、体制づくりをしなければなりません。それは数万人の大企業でも数人規模の小規模事業者でも義務としてやらなければならないのです。