2024年5月26日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年11月21日

 2023年10月29日付ワシントン・ポスト紙(WP)は、「中国の海洋における挑発行為は無視するにはあまりに露骨になりつつある」と題した社説を掲載している。

(Leestat/gettyimages)

 バイデン政権がウクライナと中東に焦点を当てる中、他の地域で新たな危機が生じる危険性がある。太平洋で、中国は用心深く挑発行為を繰り返し、米国と地域の主要同盟国であるフィリピンを試している。

 南シナ海は長く米中間の潜在的な発火点になり得ると見られてきた。だからこそわれわれは、全面的な紛争を避けるためにホットラインを含む軍部間の交流を早急に復活させるよう主張してきた。

 10月22日に中国は、セカンドトーマス礁の船舶に駐留するフィリピン海兵隊に物資を補給するフィリピン沿岸警備艇と補給船に、中国の海警局船を意図的に衝突させた。中国は南シナ海全体の領有権を一方的に主張している。

 フィリピンは中国の行動を「危険で、無責任で不法な行為」であると非難した。中国の行動はセカンドトーマス礁の事実上の封鎖につながるものであり許されるものではない。

 中国は南シナ海の公海上を飛行する米国航空機についても挑発的行為を拡大してきた。上記の衝突事件の2日後、中国J‐11ジェットは夜間に米国B-52爆撃機のわずか10フィートにまで近づく極めて危険な飛行を繰り返した。

 これは習近平が経済の行き詰まりと指導力の危機という悪化する国内問題から国民の目を逸らすために行なっているのであろう。

 中国の理屈がどのようなものであれ、米国は太平洋国家であり一度に複数の危機が起こっても対処できるとのメッセージを常に送ることが重要である。バイデン大統領は、フィリピン船舶、航空機、軍隊に対するいかなる攻撃も両国の相互防衛条約を発動させることになるし、米国はそのような攻撃に際しては憲法上の手続きに従って共通の危険に対処すると述べた。このように米国のコミットメントを繰り返し言及することは、中国の誘惑を思い留まらせる正しい道である。

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 本社説は、ウクライナと中東が世界の注目を集める中で、極めて危険な状況が南シナ海で進展している事にもっと関心を持つべきであるとの論旨であり、極めて的を射ている。

 その根底には、中国の行動がそれほど粗野で目に余ることがある。社説では、船舶の衝突と米軍への意図的接近が事例として挙げられているが、他の事例に枚挙のいとまはなく、例えば今年2月にはセカンドトーマス礁においてフィリピン沿岸警備艇乗組員が中国海警局船舶から軍用レーザー光線を照射されたし、この9月にはスカボロー礁で中国が設置した浮遊式の障害物が発見され、フィリピンがこれを撤去している。


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