2024年5月26日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年10月26日

 10月20日、中国当局が反スパイ法違反の疑いで拘束していたアステラス製薬の日本人男性社員を正式に逮捕したことがわかった。男性は今年3月、中国駐在を終えて帰国する直前に拘束された。日本政府が早期解放を求めていたが、今年9月には刑事勾留され、逮捕に至った。また、10月22日、同じく今年3月、日系の非鉄専門商社で希少金属(レアメタル)関連の業務を行っていた中国人社員と、取引先中国企業の中国人が当局に拘束されたことも明らかになった。

(kuppa_rock/grebeshkovmaxim/gettyimages)

 中国の習近平政権は2014年に「反スパイ法」を施行。スパイ組織およびその代理人が中国の国家安全保障に反する活動を行うことなど5項目を挙げていたが、今年7月にはスパイ行為の定義を拡大する改正「反スパイ法」を施行し、取り締まりをさらに強化している。

減少する日本人の中国渡航

 こうしたことを受け、日本人の中国渡航は大幅に減少している。中国から日本への渡航は、今年8月に団体旅行が解禁になったこともあり、個人旅行客、ビジネス渡航なども増えているが、対照的に日本人の訪中は減っている。

 JTB総合研究所のウェブサイトによると、今年7月、訪日外国人(推計値)は約232万人だったが、日本人出国者数(速報値)は約89万1600人で、訪日外国人と比較して半数以下しかなかった。同じく、国・地域別でみると、今年1~6月、日本人の渡航先で最も多かったのは韓国(約21万1500人)で、続いて米国(約13万8000人)、台湾(約8万人)、タイの順となっており、上位10ヵ国・地域に中国は入っていなかった。

 中国側の統計をみてみよう。同7月、中国国家移民管理局の発表によると、今年1~6月、中国からの出入国者数は約1億6800万人だったが、そのうち外国人の出入国は約843万8000人(香港、マカオ、台湾などを除く)にとどまり、コロナ禍前の2019年同期比で73%も減少した。上海市統計局によると、同1~6月、上海市に入境する外国人は約75万6000人で2019年の約4分の1という少なさだった。

 中国の統計で、日本人の出入国データは見つからなかったが、前述の日本人出入国者数、そして訪中外国人数ともに大幅に減少していることから、日本人の中国渡航者数も大幅に減少しているとみて間違いないだろう。


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