日本の環境への適応も
ここまでは、コストコ社の物流センターから各倉庫店への配送について述べてきたが、忘れてはならないのは各ベンダーから物流センターへの納品物流である。以下の写真の通り、コストコ社市原物流センターのまわりには、トレーラーだけではなく10トン車や11トン車と思われる単車、国際海上コンテナ等も見られる。
これらのトレーラー以外の車両は、主としてベンダーがコストコ社物流センターへの納品に使用している車両である。
輸入品を納品するベンダーは、国際海上コンテナを直接物流センターに配送してくることがあり、その場合にはトレーラー同様にドックあるいはヤードに台切りすることになる。ドライバーの庫内への立ち入りは禁止されており、荷降ろし作業がコストコ社社員により行われる点についてもトレーラーと同様である。
また、大口ベンダーを中心に、倉庫店から物流センターに戻って来る空トレーラーを活用して商品を引き取って来る場合もある。
それ以外の日本国内からのベンダー納品は、基本的に10トン車以上の単車で行われているが、事前予約制をとっているため1台の受付に要する時間は1~2分であり、余程の繁忙期でない限りゲートでの待ち時間は発生しない。また、トレーラーや国際海上コンテナと同様に、単車のドライバーも庫内への立ち入りを禁止されており、荷降ろし作業もコストコ社社員により行われている。
単車は台切りできないので、ドライバーは荷降ろしが完了するまで待機することになるが、トレーラーの場合と同様に全ての貨物はパレタイズされており、加えて以下の写真の通り長尺ブレードの電動パレットジャック等の効率運用により、10トン車の場合で入構から退出までに要する時間は平均30分以内である。
また、日本国内のベンダー納品に使用される単車の多くは側面の扉が上がるウィング車であるが、荷降ろしは全て後尾のドア口から行われており、ウィングドアを上げて横から荷降ろしが行われることはない。
コストコ社としては、日本国内のベンダー納入についても将来的にはトレーラーが利用できるようになれば良いと考えてはいるが、現在の日本の倉庫や物流センターの構造に鑑みそれが難しいことは認識しており、現時点では日本の環境に敢えて適応しているようである。