物流センターから各倉庫店へは基本トレーラー
写真2のようなトレーラーは、基本的に物流センターから各倉庫店への配送に使用されており、物流センターに到着した空トレーラーは直接ドックに接して台切りされる場合と一旦ヤードに台切り後ドックに横持ちされる場合がある。いずれの場合にもドライバーの物流センター庫内への立ち入りは禁止されており、貨物の積み込み作業はコストコ社の社員が行っているため、ドライバーには手待ち時間も荷役作業も発生しない。
一方、物流センター近郊の倉庫店に実入りトレーラーを輸送してきたドライバーは、以下の写真の通り倉庫店の荷受口ドックに当該実入りトレーラーを台切りし、荷降ろしが終了して空になったトレーラーをけん引して物流センターに戻ることになる。物流センターから納品された貨物の積み降ろし作業はコストコ社倉庫店の社員が行っているため、ドライバーには手待ち時間も荷役作業も発生しない。
物流センターから中長距離の倉庫店の荷受け口ドックでは台切りは行われず、ドライバーは荷降ろしが完了するまで待機することになるが、後述の通り全ての貨物はパレタイズされているため、長時間の手待ちが発生することはない。
ここまででご理解頂けると思うが、このコストコ社の物流センターから各倉庫店への配送オペレーションは、筆者が本シリーズで申し上げてきた米国のロジスティクスの手法が日本でも実現可能であることを証明しているのではないだろうか。
因みに、コストコ社の物流センターから各倉庫店への配送に使用されているトレーラーは、40フィートと45フィートの両方があるが、現時点では40フィートの方が多数派とのことである。この辺については日本の道路事情への適応を図っているのであろう。
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