大会に大きな影響を与えたエポックになったのはテレビ中継であった。日本テレビは87年から箱根駅伝を中継し、区間ごとのドラマを映し出してきた。
「山の神」「大ブレーキ」など、世の中が動いていない正月のゆったりした時間の中に、躍動感あふれるドラマがライブで届けられる。こうした臨場感も箱根駅伝が根強い人気を誇る要因になっているのだろう。
出場すれば注目度が上がるため、大学がPRや学生集めに戦略的に箱根駅伝を活用していることや、チーム運営や選手育成に向けた監督の采配ぶりが注目されていることも近年の特徴である。予選会から盛り上がった100回大会はどんな展開になるのか。わくわくする年明けである。
自ら動き人生を変える
二冊目は『何度でもリセット』(安永雄彦著、ディスカバー・トゥエンティワン)。銀行員出身で、その後経営コンサルタントを経て僧侶になった著者が発想の転換による人生への向き合い方を記した。
現在、京都の西本願寺で執行長を務めている著者は、企業勤めから仏道へと人生の歩みを変えてきた自身の経験をもとに、発想を「会社軸」から「自分軸」へと転換する重要性を指摘している。
会社や組織に勤める人は、人生の長い時間をそこで過ごすがゆえに会社中心の発想になりがちだが、今の時代、会社は永遠に存在するものではない。将来性に不安を感じる人に対して著者はこう説く。
具体的には自らと向き合い、意識と訓練によって「自分の軸」を持つことが重要だと説く。自分自身のセンサーを意識的に働かせる時間を持つことで、変化に敏感になり、自分の心の状態を観察する力が磨かれるという。
さらに自分で自分の能力を限定しないことの重要性についても強調する。人にはそれぞれ多くの可能性があり、自ら動き出すことで人生は確実に変わるという著者の強い思いがある。
年末年始の休みで仕事がオフになり、自らと向き合う時間ができると、自身の生きる方向性について悩む人も多いだろう。自分は本当は何をしたかったのか問い直し、生き方をリセットしようと考える時に大いに役立つ本である。