柯支持派とみられる市民団体「打炒房聯盟」はフェイスブックで、柯候補が若年層の間で極めて人気が高いことを理由に「3%得票が伸びれば柯文哲氏が当選できる」などと指摘した。この団体が街頭でアンケートを取ったところ、45歳以下の層の支持率は、柯氏が65%、頼氏が25%、侯氏が44%、45歳以上では柯氏12%、頼氏44%、侯氏44%だった。
立法院選挙で鍵握る民衆党
現実的には柯氏の総統当選は困難としても、同氏が率いる第二野党、民衆党が総統選挙と同時に行われる立法院(国会、113議席)の委員(議員)選挙では鍵を握りそうだ。12月23日付の台湾紙・聯合報(電子版)によれば、過去に民進党に向かっていた若年層の票が民衆党に流れる可能性が高いという。与野党の接戦区と比例代表区で民衆党の得票が大きく影響するとみられている。
民進党が立法院で過半数の57議席以上を得るには、7~8議席しか落とせない。しかし、激戦の15選挙区で民進党候補が落選する恐れがある。
民進党は16年と20年の総統選・立法委員選で、若年層から大きな支持を得た。特に20年は、香港の反政府デモなどを背景とした反中感情と、当時、保守的な中高年層を中心に熱狂的な支持を得ていた国民党・韓国瑜候補への嫌悪感から、蔡英文総統が若年層の票の7割を得て大勝。立法院でも蔡総統人気の影響で勝利した。
今回は、そのような追い風がないばかりか、柯文哲氏の立候補で風向きが変わった。若年層の票が同氏と民衆党に向かい、民進党が票を奪われるとみられる。
美麗島日報の23年12月の世論調査だと、民衆党への好感度は35.4%。20~49歳の青壮年層、大学以上の高学歴者だと、好感を持つ有権者が4割を超す。同じ調査で、好感は民進党が41.7%、国民党が43%だった。
TVBSの12月30日の世論調査での政党支持率は、国民党が33%、民進党が30%、民衆党が16%。民衆党の支持率はさほどでないが、与党不利の結果は同じだ。
12月28日付聯合報(電子版)によると、民進党、国民党が内部で行った予測だと、両党とも立法院の過半数の57議席を獲得するのは困難。民進党立法委員の多くも、同党が多数派を維持できるが、国民党ともども過半数は得られないのはほぼ確実とみている。
新総統が誰であれ、民衆党が予想通り8~10議席を獲得すれば、キャスチングボードを握れる。民衆党がどちらの党につくかで、政権の命運が決まる。柯文哲氏はかつて「自分は内心では、民進党の支持者」とも、国民党の比例代表で立候補中の韓国瑜氏を「立法院長(議長)に推す」とも語っていたそうで、どちらの党を支持するのか真意は分からない。
1月13日の選挙後、民衆党が民進党と国民党のどちらと付くかは、立法院の正副議長の人選が目印だという。総統選の第3候補、柯文哲氏の動向に注目だ。