2024年11月22日(金)

ジェンダー平等と多様性で男性優位の社会を変えよう

2024年3月8日

〝アピール〟のフェーズは終わった
「やっているフリ」は逆効果に

 今でこそ、SDGsという言葉の認知度は高まり、多くの企業や投資家にも意識されています。ですが、17年当時はSDGsを知る人は珍しく、ジェンダーギャップがあることすら誰も意識していないような状況で、こちらから企業に声を掛け、協力を仰いでも見向きもされませんでした。

 浸透していなかった時には、SDGsのシンボルともいえるカラフルな丸いバッジをしていることがステータスにもなり、知名度の向上にも効果的だったため、私自身も誇りを持って着用していました。

 ただ、昨今では「SDGsウォッシュ」という言葉があるように、実態が伴わないにもかかわらず「取り組んでいるフリ」をする事例が顕在化しはじめています。個人的には「認知」のフェーズは既に終わり、これからはいかに実装していくかという段階に入っていると感じています。つまり、これからは「やっているフリ」は逆に世間からの評判を下げる方向に働くことになるということです。

都合のいい言葉に踊らされず
内実や本質に目を向けよ

 世界経済フォーラム(WEF)が発表した昨年のジェンダーギャップ指数において、日本は世界146カ国中125位でした。特に、「政治参画(138位)」や「経済参画(123位)」の指標では世界平均を下回り、総合順位を押し下げる要因にもなっています。

 ここで強調したいのは、各指標における順位そのものではなく、そもそもジェンダーギャップが「存在する」という事実です。私たちは「国際女性デーが特別な日でなくなる社会を目指して」というスローガンを掲げていますが、ジェンダーギャップが解消された暁には、国際女性デーはなくなってもいいと本気で思っています。裏を返せば、ジェンダーギャップが存在する以上は、それを埋めるための努力を続けていきたいということです。

 昨今、日本では「ジェンダーギャップ」と「ジェンダーレス」が同列に扱われ、語られる風潮があるように感じており、そこには違和感を覚えます。もちろん、ジェンダーレスも大事なことだと認識していますが、私たちは、まずは目の前にある「ジェンダーギャップ」の解消に注力すべきだと考えています。その意味で「LGBTQ」や「ダイバーシティー」などの言葉を都合よく振りかざすのではなく、その本質や内実に目を向けることが必要だと思います。

ジェンダー平等実現の鍵は
無意識の偏見と自己肯定感

 SDGsの採択から約10年間で、世の中の情勢も大きく変化しました。例えば、ESG(環境・社会・企業統治)投資の観点から、株主をはじめとするさまざまなステークホルダーに情報開示を求められる中で、企業の事業内容と社会貢献とが少しずつ意識され、リンクするようになってきています。

 今後ジェンダーギャップを埋めていく際の鍵になるのは「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」と「自己肯定感」だと感じています。


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