最後に、国境での混乱がある。共和党は12月に30万人になった移民の最新の増加を利用する日和見主義者である。バイデンは、この問題を共和党から取り上げ、国境に強固で人道的な統制を回復させるために、あらゆる権限を使うべきである。
バイデン政権はあまりに長くためらい、国民を怒らせた。バイデンは多くのことができる。密入国補助者を捕まえ、訴追すること、行政命令で亡命手続きを厳格化すること、亡命審査官に早期に事案を処理する権限を与えること等である。
彼は国境での米軍の役割を増加させうる。これらの行政措置は移民の流れを止めるだろう。
これら3つの危機を乗り越え得る大統領は統治するに適格であることを示せる。バイデンは先週自ら認めた「高齢男性」であり、彼が再選を求めるのであれば、適切な副大統領候補を選ぶ責任がある。バイデンは正しい選択をするにあたり自分の心の底を見てみる必要がある。
ハリス副大統領もそうである。第2期トランプ政権による破局の危険を冒すのは無責任と利己主義の行為になるだろう。良い指導者は国の将来について博打はしない。
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変わる米国内のイスラエル支持
この論説は第2期トランプ政権は米国にとり大変な結果を招くとの認識に立って書かれているものである。この間、トランプが大統領として北大西洋条約機構(NATO)の主要国の首脳に言っていたと明らかにした発言(防衛費を十分に払っていない国を守らない、ロシアに好きにすればよいと奨励するなどの発言)に鑑み、イグネイシャスの懸念を共有するに至っているので、この論説で彼が書いていることには賛成である。
イグネイシャスは、現在米国が直面している危機にバイデンがうまく対応すれば、バイデンは高齢批判などを乗り越えられると言っているが、おそらくそうであろう。バイデンはウクライナ支援についても、ガザ紛争についても、おおむねイグネイシャスが主張する方向で政策展開をしていると思われる。そして、それはうまく行く可能性が高い。
イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスの殲滅を相変わらず言っているが、ハマスは団体であると同時にイスラム原理主義運動の一部であり思想運動であるから、殲滅というのは達成しがたい目標である。そういう目標を追いかけて、無辜のガザの子供などを殺しているイスラエルの過剰な武力行使は、米国がイスラエルへの軍事支援を止めるなど強い対応をすれば変えさせることは可能であろう。