2022年12月4日(日)

World Energy Watch

2013年11月7日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 所得により高過ぎると思う人の比率には差がある。最も高過ぎるとの回答が多い州は旧東ドイツのザクセン‐アンハルト州だ。73%が高過ぎるとしている。最も低い州は旧西ドイツのバーデン‐ヴェルテンベルク州で43%だ。1人当たり国内総生産額を見ると、ザクセン‐アンハルト州は約23000ユーロ、バーデン‐ヴェルテンベルク州は36000ユーロと大きく異なる。必需品の電気を節約するのは贅沢な家電製品を使用していない家庭ほど難しく、負担感も大きい。

 負担額が増えすぎたFITをどうするのか、総選挙後のドイツでは大きな政策課題として浮上している。日本でも、12年7月1日からのFIT導入以降、既に2100万kWを超える太陽光発電設備が認可されている。今後認可された設備が稼働を始めれば、費用負担が問題になるだろう。

設備導入拡大も相次ぐメーカーの破綻

 FITの導入によりドイツ、スペイン、イタリアでは太陽光発電設備導入が大きく伸びたが、図の通り、負担額の増加により欧州を中心に世界の設備導入の伸びは鈍化した。欧州市場の減速を補うかのように日本、中国、米国が新たな市場として登場し、13年の導入量は再度増加し3800万kWに達すると予測されている。

 欧州での設備導入増が環境ビジネスを拡大すると期待した各国の企業により太陽光モジュールの生産が開始され、世界市場は瞬く間に供給過剰に陥ってしまった。特に、中国政府が成長戦略の柱の一つとしたことを受け、地方政府が太陽光モジュール製造業の育成に乗り出したことから、中国メーカーが乱立した。中国だけで世界の需要量すべてを満たせるほどの生産が行われたことから、モジュールの価格は急速に下落する。

 11年には米国連邦政府が5億ドルを超える資金援助を行っていたソリンドラ社が破綻し、12年にはドイツQセルズ社の破綻などが続いた。いずれも、中国製との価格競争に敗れたためであり、米国政府、EU委員会により中国製の太陽光モジュールへの課税が検討されることになっていく。そんななかで、中国企業も体力を消耗していく。

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