中国メディアは何を報じているか

2013年11月7日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 (3)11月1日付:10月31日に孟建柱中央政治局委員兼中央政法委員会書記がウズベキスタンで開かれた上海協力機構地域テロ機構執行委員会で10.28事件について行った報告を次のように伝えた。

上海協力機構加盟国はさらに協力を強化し、断固テロに打撃を与えなければならない。

現在国際テロ活動は活躍上昇期にあり、中国を含む多くの国がテロの脅威を受けている。北京での暴力テロ襲撃はこのような国際的な大背景の下で発生したものである。このテロ襲撃は、組織的であり、計画的であり、広範な民衆の生命、財産に重大な損失を与えた。

テロは全人類共同の敵であり、中国政府は暴力テロ犯罪にさらに断固打撃を与え、上海協力機構の反テロ機構が反テロ安全協力をさらに強化し、上海協力機構が反テロ行動能力を高め、共同で域内外の安全脅威に対応し、地域の平和と安定を守ることを希望する。

 (4)11月4日付:外交部が米CNNなどのメディアが10.28事件に対する中国側の定性(綿密に画策された、組織的、計画的な暴力テロ襲撃事件であるとの認識=筆者注)について疑問を呈し、中国の民族宗教政策を批判し、関連するテロ分子に対し同情を示していることに対し批判したことを次のように伝えた。

一部の個人と勢力は、一部の過激なテロ分子による無辜の市民と観光客に対する暴力テロを民族宗教問題と結びつけ、さらにはこれを口実に中国の民族宗教政策を批判している。これはテロ分子に対する黙認であり、中国は強い不満を表明する。

中国政府は法に基づき全国の各民族人民の宗教信仰の自由を含む各権利を保護している。中国はあらゆる形式のテロに一貫して断固反対し、法に基づき厳しく打撃を与える。いかなる者がいかなる名目であれテロ活動を実行し、支持することに反対する。反テロ問題で「ダブルスタンダード」を実行することに反対する。

関連するテロ活動は反人類、反社会、反文明的な犯罪行為であり、いかなる良識ある人が厳しく非難するはずだ。関連するメディアは、この問題で是非を明らかにし、客観的で公正な態度で報道し、反対のことを言うべきではない。

事件の背景説明は一切なし

 『人民日報』が10.28事件について伝えた記事は多くない。しかも、11月6日付時点で論評はゼロである。

 (2)は、北京市公安局がこの事件を「テロ」と断定したことを伝える重要な記事である。これは党中央の意向であり、今後の展開を決定づけるものである。

 (3)は、党中央の公安部門のトップである孟建柱の上海協力機構の会議での発言で、党中央がいち早くこの事件を「テロ」と断定したことに対する国際的な理解、支持を求めたものといえる。

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