カート・キャンベルが、フィナンシャルタイムズ紙に10月9日付で掲載された論説で、オバマのアジア歴訪中止は打撃ではあるが、それは国内政治が原因であり、埋め合わせる方策はいくらでもある、として、いくつかの策を提言しています。
すなわち、オバマの、マレーシア、フィリピン、ブルネイ、インドネシア歴訪および東アジアサミットとAPECサミットへの参加中止は、オバマ政権が公言してきた、アジア回帰あるいはリバランスにとって、打撃であった。今問題となっているのは、今回のアジア太平洋からの後退に、オバマ政権がどのように対応するかである。
大統領のアジア歴訪を頓挫させたのは、結局のところ、外交政策ではなく、国内政治の機能不全である。前例のない、米国のデフォルトの可能性を前に、共和党強硬派が支配的な議会では、外交政策や国家安全保障は、国内問題に弾き飛ばされてしまったのである。
歴訪中止のダメージは確かにあるが、米国の対アジア関与政策が続くことを、オバマ政権が示す方策は、いくらでもある。
第一に、オバマは、第二期政権における、アジアに関する、外交、通商、安全保障政策のアウトラインを与える大演説を行うべきであり、第二期政権が、クリントンとドニロンのビジョンを超えて進むことを明確にすべきである。
第二に、大統領は、日本のような長年の同盟国への訪問と、東南アジアの主要国への歴訪を、再設定する必要がある。オバマ政権は、中国との間で定期的な高官外交を続けているが、同様のことを地域の他の主要国との間でも行うべきである。
第三に、米国は、TPP交渉の第一段階を完了するために必要なステップを踏むべきである。今年中の交渉妥結の期待が高まっていたが、それが延期されれば、もう一つの大きな後退となる。
第四に、米国は、アジアにおける軍事態勢の再編を継続し、太平洋の軍事的資産を強制削減や政府機能停止から守らなければならない。
最後に、オバマ政権は、大胆で、より創造的な外交的アジェンダを示さなければならない。欧州をアジアの重要な対話に引き込むことは良いスタートとなろう。ASEANの指導者たちをグループとして、初めてワシントンに招くことは、傷ついた感情を癒す助けとなろう。アジアにもっと深く関与しようとするインドの野心を支持し続けることも役に立つであろう。日中間の和解を促進することも、アジアの平和と安定への、米国のコミットメントの継続を示すことになろう。