2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月15日

 オバマのアジア歴訪中止は失望をもたらしたが、米国がアジアにおいて享受している決定的な優位は、アジアと米国の双方が、米国の地域における役割の継続を熱望していることである。アジアは、米国がアジアの世紀に向かって真っすぐ進んでいるという長期的な姿勢に鑑み、米国の短期的な後退を大目に見ようとしている。したがって、オバマの歴訪中止への心配よりも、次に米国が何をするかに、より多くの焦点が当てられることになろう、と述べています。

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 キャンベルの提言が実行されれば、「雨降って地固まる」ことに繋がるでしょう。提言の中で、特に現実的かつ具体的なのは、アジア歴訪の再設定、TPPの推進、アジア太平洋における米軍を強制削減から守ること、の三点です。また、米国の対アジア関与を米国とアジアがともに望んでいるという長期的な地政学的展望は、米国のアジア専門家が、概ね一致している線といえるでしょう。

 仮に、オバマのアジア訪問が実現していたとしても、米中首脳会談における習近平との間での内容を伴わない形だけの対話、友好関係を誇示するだけで、実質的内容では期待外れになっていたのではないかと思います。

 それが、訪問をキャンセルしたために批判を浴び、次回の訪問では、ある程度の具体性を以てその償いをしなければならないことになった、という意味で、キャンセルがかえってプラスに働く可能性すらあると思われます。

 やや希望的観測になりますが、第二期オバマ政権のアジア政策はまだ学習過程にあると考えれば、ある程度の期待をもって見守ることもできると思います。その点、キャンベルのように民主党政権内でまだ発言力のある識者の発言は貴重です。

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