2024年6月18日(火)

21世紀の安全保障論

2024年4月15日

 このため陸自では、24年度中に沖縄本島中部に位置するうるま市内のゴルフ場跡地(約20ヘクタール)を取得し、26年度中には、なんとか中隊と呼ばれる100人規模の部隊が訓練できる環境を整えたいとして訓練場の新設を計画してきたのである。

なぜ計画は断念されたのか

 だが、計画に対し自民党を含む沖縄県議会は、全会一致で白紙撤回を求める意見書を可決し、木原防衛相は計画断念を表明せざるを得なくなった。それはなぜか――。

 地元選出の國場幸之助衆院議員(自民党)は「多くの県民は災害時の対応を含めて自衛隊の訓練場の必要性は認めている。しかし今回は、周辺自治体や関係者への事前説明や合意形成が稚拙過ぎた。私自身も報道があって初めて訓練場の計画を知ったほどだ」と話す。

 加えて國場氏は「自衛隊が独自の訓練場を持つことが理想だが、県内に点在する米軍の訓練場を自衛隊がもっと活用できる道も模索すべきだ。将来は、米軍の専用施設の管理権を日本政府が持つという目標を掲げて取り組んでもらいたい」と注文を付ける。

 沖縄県については、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設を巡って政府との対立が続いており、他の自治体以上に地元の理解を得なければ前に進まないことは自明のはずだ。訓練場を新設するこれほど明白な目的があるにもかかわらず、政府の対応は「どうせ沖縄は、知事が代わらなければダメ」といったあきらめ感があるのでは、と思わざるを得ない。岸田首相はなぜ、訪米する前に、沖縄とひざ詰めで協議し、理解を得ようとしなかったのか。

許されない議論停滞

 政府の説明不足がさらなる危機を招きかねないと危惧するのは、自衛隊と米軍の指揮統制強化の問題だ。今回の日米首脳会談で、日米両政府は東アジアで即応体制の強化を急ぐため、自衛隊と米軍の相互運用性を向上させ、指揮統制など司令部機能を強化することで合意した。中国の急速な軍拡とロシアとの連携強化、北朝鮮のミサイル能力向上という脅威に直面する日本にとって、日米の緊密な連携は不可欠だ。

 だが、現状では「指揮統制の強化」や「司令部機能の強化」という言葉ばかりが先行し、具体的な姿や形は見えてこない。首脳会談の前から新聞各紙はこの問題を取り上げてきたが、国会の議論は自民党派閥の裏金問題ばかりで、岸田政権も政治とカネの問題に追われ議論は停滞し続けている。だが、それでは困るのだ。


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