2024年5月2日(木)

医療を変える「現場の力」

2013年12月12日

 この会議では、今支援している人の事例について、認知症の専門家としての視点から評価がなされ、必要な支援を検討しつなげていくための話し合いが持たれる。医療的な支援を必要としないケースもあれば、公的支援や介護保険サービスだけでなく、ご近所の○○さん、友人の△△さんに、協力してもらって……などという、地域のつながりを大切にした提案がなされるケースも多い。

 このような場合にこそ、多職種のチームで動いている持ち味が活きてくる。

 厚生労働省の研究班の発表によると認知症の人は、2012年時点でおよそ460万人、“予備軍”を入れると800万人超。これからも増えて行くことが予想される。

 そんな中で、なるべく早く地域の中で、専門家が認知症の人と出会い、フォーマル、インフォーマルをあわせた適切な支援に結びつけることがますます必要になってくる。つまり、生活を支える介護の視点、必要な時にタイミングよく点で介入する医療の視点、そしてご近所力も総動員して、支え合っていくということだ。

 社会資源に地域差がある日本各地に、どのようにこのモデルを広げていくか、まだまだ解決しなければならない課題も多い。

 しかし、上野さんは言う。

 「認知症の人が住みやすい社会は、だれにとっても住みやすいはずです。世界で一番高齢化が急速に進む日本。これからの局面を乗り越えていくことはまだ人類が誰も成し遂げていない偉業です。日本でぜひ、この偉業を成し遂げるんだという前向きな気持ちで取り組んでいます」。


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