── 米国政府は在ヒューストン中国総領事館を閉鎖し、中国人従業員と学生が米国の企業や大学で諜報活動を行っていると指摘した。テクノロジー盗用のリスクを米国はどのように見ているか、またこのリスクにどのように対応するのか。
中国政府は、米国の雇用と国家安全保障を犠牲にし、自国の将来の経済成長と軍の近代化の原動力となる産業を手中に収めるため、全政府的アプローチを用いて、米国の知的財産を違法に入手している。中国政府は、軍民両用の一連の主要テクノロジーを選定し、人民解放軍への所属を公にしている者も含む、中国の大学院研究者に米国、欧州、オーストラリア、日本の大学に留学し研究することを奨励している 。米国は現在、米国で行う研究における機密技術関連プログラムから人民解放軍所属の大学院生を除外し、他の研究者に行わせようとしている。
中国は、ただ人民解放軍の増強のために知的財産を盗用しているわけではない。将来の産業全体を構築するために、他国のテクノロジーを使用しようとしている。たとえば、中国国内の高速鉄道(HSR)網は、元々は日本とドイツのテクノロジーを取り入れて作られた。だが今や、中国企業は世界中のHSRの契約を独占しようとしている。
── 米国の中央情報局(CIA)と英国の秘密情報部(MI6)は、機密情報や諜報活動で得た情報を民間企業、大学ともやりとりしている。現時点では、日本にこれらに匹敵する情報機関は存在せず、それにより諜報活動への対策が遅れている。米国から何か日本への助言はあるか。
米国は、産業保全 、サイバーセキュリティ、また情報保全の法的枠組みを強化する、日本政府の取り組みを歓迎しており、こうした取り組みが情報共有の拡大につながることを期待している。 米国は、日本政府および米国企業と提携している日本企業と、経済安全保障や中国がもたらすリスクに関して、より多くの情報や政策アイデアを共有したいと考えている。それを熱望していると言ってもいい。これは特に量子計算、AI、自律走行車、医用生体工学、宇宙といった、新たなテクノロジー分野で求められており、米国は調査・研究において日本人専門家との協力を望んでいる。また、5Gの分野でも同じく、日本との連携を強化し、クリーンで、安全かつ信頼できる5Gネットワークの構築を日米両国のために推進していきたいと考えている。