2024年6月28日(金)

Wedge REPORT

2024年6月13日

 さて、皆さんが興味をお持ちであろうランキングの話をすると、24年は以下のようになっている。( )はスコアである。

1位 米国 (5.24)
2位 スペイン(5.18)
3位 日本(5.09)
4位 フランス(5.07)
5位 豪州(5.0)
6位 ドイツ(5.0)
7位 英国(4.96)
8位 中国(4.94)
9位 イタリア(4.9)
10位 スイス(4.81)

 このトップ10の顔ぶれは前回とほとんど変わっていない。シンガポールがトップ10から落ち、代わりに中国が入っている。トップ3は、前回はほぼ同率1位で、今回も微差ではある。

観光収入は世界何位か?

 次にアジア圏のランキングを見ると以下のようになっている。( )は世界ランク。

1位 日本 (3)
2位 豪州(5)
3位 中国(8)
4位 シンガポール (13)
5位 韓国 (14)
6位 インドネシア(22)
7位 ニュージーランド(25)
8位 マレーシア(35)
9位 インド(39)
10位 タイ(47)

 一方で実際のインバウンドによる観光収入ランキング(20年)を見ると下記のようになっている。( )は億米ドル。

1位 米国(702)
2位 フランス(406)
3位 スペイン(345)
4位 アラブ首長国連邦(344)
5位 英国(331)
6位 トルコ(266)
7位 イタリア(221)
8位 ドイツ(198)
9位 メキシコ (170)
10位 豪州 (170)
~~~~
28位 タイ(51)
29位  日本(41)

 こうしてTTDI2024の順位と実際の観光収入を比較すると、日本はその旅行・観光競争力をうまく活かせていないように見えないだろうか? TTDIで先47位のタイよりも3位の日本の国際観光収入が低いのである。

 付け加えるならCondé Nast Traveler (コンデナスト・トラベラーズ)という米国の大手旅行雑誌の読者投票による「最も魅力的な国」部門では日本がイタリア、ギリシャなどを抑えて1位になっている。本誌によれば52万人の読者による投票とのことで、一旅行雑誌が実施した投票であっても日本の人気が極めて高いことは理解いただけるだろう。

 国際観光を促進するにあたって、言語の問題、国土を海で囲まれていることによるアクセスの問題などの障害もあるだろう。しかし、旅行・観光競争力の潜在性がこれだけ高いと“外部”から評価されていることは事実である。

 多くの観光関連事業者の方が誠実に事業を営んでいること、いくつかの地方行政や観光地域づくり法人(DMO)が何とか海外誘客をしようと努力していることは十分理解しているのだが、どうも適切な方法論を学んでそれを実行できていないようにも思われる。逆に言えば、国、地域行政、DMO、観光関連事業者、非観光関連事業者、地域住民が適切な方法論を学び連携して観光地域経営を実践し続けることで大きな事業機会が開けるのである。

 観光地域経営の目的は「地域住民の生活を向上させるために旅行・観光を活用すること」である。昨今オーバーツーリズムが問題視されることが少なくないが、オーバーツーリズム問題はつまりは、旅行・観光を適切に活用できていないわれわれの問題なのである。


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