2024年7月20日(土)

Wedge REPORT

2024年6月13日

ライバル国より日本が優っていることは?

 これらのデータは、今後の旅行・観光戦略を考察する上で、価格アップをする最適な状況にあることを示していると思われる。日本は今年度過去最高のインバウンド客数を記録する可能性が高い。円安と日本の物価が低く抑えられてきたことにより、日本観光が極めて割安になっていることはその一因であろう。

 しかし、価格競争力はTTDIの17個ある評価の柱の1つでしかない。日本はそれ以外の、ビジネス環境、健康と衛生、ICTレディネス、航空輸送インフラ、地上・港湾インフラ、天然資源(自然)、文化遺産、環境サステナビリティにおいて高い評価(スコアで5.0以上)であり、これらを活かすことによってより高付加価値と高価格を実現できる可能性が高い。

 一方で17の柱のうち、旅行・観光の開放性(海外観光客への利便性)、観光サービスとインフラのスコアはそれぞれ4.06と2.93と低いのである。政府はインバウンド観光で15兆円を目標にしているが、こうした部分を伸ばせれば中長期にはインバウンド観光で25兆~30兆円は十分実現可能ではないか。

 インバウンド観光はある意味で国際競争ともいえる。仮にアジア、オセアニア圏が競争相手とするならば、コロナを経て重要性を増した健康と衛生において日本と近いスコアの国(例えば豪州やニュージーランド)は日本よりも価格競争力スコアが低い。

 また、文化資産で日本と近い国は中国とインドくらいであるが、観光サービスとインフラのスコアが極めて低い。日本も観光サービスとインフラのスコアは2.93と低いが、中国は1.95である。

 安心・安全を基盤にしつつ発達した公共交通機関を生かした数多くの文化遺産を周遊する高付加価値のツアーを売り出すこともできる。地域の二次交通が問題と指摘されることが多いが、それはマスを呼び込もうとしているからであり、高付加価値で富裕層を対象にした場合には必ずしも広く二次交通を整備しなくても対応が可能であろう。

 今回強調したいことは、今のうちに海外視点から魅力的なサービスと投資を強化して、価格をアップしておくべきであるという点である。その際、ただ値段を上げればよいというものではなく、海外の情報を収集しよく観察して、どのような付加価値にどの程度の対価を支払っているのかを知った上で、自分たちのサービス・商品の付加価値と価格のバランスをとるのである。

 是非TTDI2024をよく読みこんで、日本を客観的・相対的に考察して観光事業・観光地域経営の戦略を練ってほしい。

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