2024年7月6日(土)

BBC News

2024年7月3日

アメリカで11月に行われる大統領選挙に向けた1回目のテレビ討論会で、声がかすれたり、口ごもるなどしたことについて、ジョー・バイデン大統領(民主党)は2日、時差ぼけが原因だったと釈明した。討論会前に「世界各地を何度か回った」のは「あまり賢いことではなかった」と記者団に語った。

米ABCニュースによると、バイデン氏は2日夕、ヴァージニア州での私的な資金調達イベントで討論会での自分の様子について謝罪。6月に相次いだ欧州訪問に言及し、「これは言い訳ではなく、説明だ」とも述べた。そのうえで、自分が「スタッフの意見を聞かず(諸外国を訪れ)、ステージ上で眠りそうになった」のだと説明した。

現在81歳のバイデン氏が、最後に外国から戻ったのは6月15日。討論会はその12日後の6月27日に行われた。

バイデン氏は6月27日に行われたドナルド・トランプ前大統領(共和党)とのテレビ討論会で、いくつかの返答で苦戦しているようにみえた。

そのため民主党内では、バイデン氏の大統領としての適性について混乱が生じている。討論会での様子を受け、テキサス州選出の下院議員は現職の民主党議員として初めて、バイデン氏に大統領選からの撤退を求めた。

「私は彼が、(大統領選からの)撤退という、つらく難しい決断をするよう期待している」と、ロイド・ドゲット下院議員(77、民主党)は2日に声明で述べた。

6月に相次ぎ訪欧

バイデン氏は6月、2週間で2度にわたり欧州を訪問した。上旬には、フランスで開かれたノルマンディー上陸作戦80周年の記念式典やパリでの複数の首脳会談に出席。中旬には、イタリアで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議に出席した。

6月14日夜にはイタリアを離れ、翌15日はバラク・オバマ元大統領と共にロサンゼルスでの資金調達イベントに出席。その翌日にはワシントンへ戻った。

ホワイトハウス関係者は当初、バイデン氏は討論会当日は風邪をひいていたと説明していた。

バイデン氏からは2日、何らかの病気だったという説明はなかった。

ホワイトハウスの報道官はバイデン氏の説明に先立ち、同氏は討論会中に風邪薬は服用していなかったと話した。

バイデン氏は討論会の準備のため、ワシントン郊外にある大統領公式別荘キャンプ・デイヴィッドで6日間過ごしていた。

米紙ニューヨーク・タイムズは2日、バイデン氏のスケジュールに詳しい情報筋の話として、バイデン氏は毎朝11時から活動を始め、毎日昼寝の時間を確保していると報じた。

同紙はまた、バイデン氏が移動で疲れ切っていたことから、デラウェア州の海沿いにある別荘での休養時間を確保するため、討論会の準備期間が2日間短縮されたともしている。

バイデン氏の報道官を務めるアンドリュー・ベイツ氏は、キャンプ・デイヴィッド滞在中のバイデン氏は毎朝、日課の運動を済ませると、午前11時よりもかなり前に仕事を開始していたと話した。

進退は「本人の選択」との声も

今回の大統領選では、バイデン氏の年齢がかねて問題視されている。複数の世論調査は、有権者がバイデン氏は年を取りすぎていて活動可能ではないと考えていると示している。

バイデン氏は現在、民主党の大統領候補に指名されることが確実になっている。討論会後にもあらためて、11月の本選に向けて戦い続けると強調しており、2日の選挙資金イベントでも、再選を勝ち取ることが「重要」だと述べた。

他方、前出のドゲット下院議員は2日の声明で、今回の討論会を見てバイデン氏に身を引くよう促す決心が固まったと述べた。

「有権者を安心させるどころか、大統領は自分の多たくさんの業績を効果的に擁護できず、トランプの多くのうそを暴くこともできなかった」

同議員は、大統領の年齢への懸念を理由にトランプ前大統領に敗北するというリスクを冒すには、あまりにも多くのことが危険にさらされていると述べた。

「(バイデン氏は)たくさんの変革的な業績を実現してきたが、自分は中継ぎの大統領になると約束していた」

「(バイデン氏は)次世代のリーダーを励ます、その機会を手にしている。そうした次世代のリーダーの中から、開かれた民主的なプロセスを経て、この国を団結させるための候補者を選ぶことができる機会がある」

「このような強い疑念を公表するのは、軽々に決めたことではない。バイデン大統領が成し遂げてきたすべてに対する、私の尊敬の念を損なうものでも決してない」と、ドゲット氏は述べた。

バイデン氏は5日のゴールデンタイムに、ABCニュースのジョージ・ステファノプロス司会者のインタビューに応じる予定。バイデン氏がインタビューに答えるのは討論会後初めて。

今週に入り、民主党の著名議員数人が、大統領の年齢と体力について懸念を表明している。しかし、ドゲット氏のように候補から退くよう求めた人はいなかった。

ほかの民主党幹部は、大統領選で勝利するためのバイデン氏の能力に懸念があることを認めつつ、選挙戦からの離脱はバイデン氏個人の選択だと強調していた。

リベラル寄りの米ネットワークMSNBC対し、バイデン氏を擁護する人もいる。

ナンシー・ペロシ元米下院議長は2日、どうするかは「ジョー・バイデン次第だ」とMSNBCに語った。

バイデン氏の最も重要な支持者の1人、ジム・クライバーン下院議員(サウスカロライナ州)は、バイデン氏が選挙戦から退いた場合はカマラ・ハリス副大統領を民主党候補として支持すると述べた。

ただし、「自分はバイデンとハリスという組み合わせのまま、選挙戦が続いてほしいと思っている」とも、MSNBCに述べた。

ジェイミー・ラスキン下院議員(メリーランド州)は先週末、MSNBCに対し、今回の討論会が「難しい状況」を生み出したとし、「我が党のあらゆるレベルで、非常に率直かつ真剣で厳しい話し合い」が行われていることを認めた。

一方で、「バイデン大統領がどう決断を下しても、我が党は団結する。我が党は、選挙戦について検討する、まさにその中心にバイデン氏を必要としている」とも付け加えた。

(英語記事 Biden blames jet lag and travel for poor debate performance

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/ckmg8pprxnjo


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