2024年7月7日(日)

BBC News

2024年7月4日

ギャレス・エヴァンス、コートニー・スブラマニアン、ケイラ・エプスティーン、BBCニュース、米ワシントンとニューヨーク

アメリカのジョー・バイデン大統領(民主党)は3日、11月に行われる大統領選から撤退しない姿勢を示した。バイデン大統領をめぐっては、ドナルド・トランプ前大統領(共和党)との1回目のテレビ討論会で、声がかすれ、口ごもるなどしたことを受け、選挙戦を継続するかどうか検討していると一部で報道されていた。今回の表明は、民主党幹部や選挙陣営スタッフを落ち着かせる狙いがあるとみられる。

バイデン大統領はこの日、ホワイトハウスで、カマラ・ハリス副大統領と部外者を入れずに昼食をとった。ハリス氏については、バイデン氏に代わって大統領選の民主党候補になるのではないかとの憶測が膨らんでいる。

2人はその後、民主党陣営全体との電話会談に参加。ここでバイデン氏は、選挙戦にとどまると明確に述べ、ハリス氏は改めて支持を表明した。

バイデン氏は「私が民主党の候補者だ。誰も私を追い出せない。私は撤退しない」と述べたと、ある情報筋はBBCに話した。

バイデン氏とハリス氏の陣営が数時間後に送信した資金集めの電子メールの中でも、同様の文言が繰り返し使われていた。バイデン氏は「できるだけ明確に、簡潔に、言わせていただく。私は出馬中だ」とメールに書いた。「最後まで、この選挙戦にとどまる」。

討論会で精彩欠き

現在81歳のバイデン大統領の選挙戦継続をめぐっては、トランプ前大統領との討論会後に疑問が渦巻いていた。討論会で口ごもったり、声がかすれたり、時には答えに詰まるなどしたことで、バイデン氏の大統領としての適性や、大統領選で勝利する能力に、身内の民主党内で懸念が生じた。

トランプ前大統領がリードを広げつつあることを示す世論調査が増えるにつれ、バイデン氏に選挙戦からの撤退を求める圧力は高まっている。米紙ニューヨーク・タイムズの3日の世論調査では、トランプ前大統領は6ポイント差というこれまでで最大のリードを保っていることが示された。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが公表した別の世論調査では、複数の激戦州でトランプ前大統領が3ポイントリードし、全国的にも前大統領がリードしていることが示された。

民主党の献金者や議員の中には、バイデン氏に身を引くよう公に要求する人もおり、世論調査の結果をいっそう深刻なものにしている。1988年から民主党のための資金集めイベントを開催してきた、マサチューセッツ州を拠点とするインド系アメリカ人実業家ラメシュ・カプール氏は、「彼がバトンを渡す時が来たと思う」とBBCに語った。「彼に意欲があるのはわかるが、自然の摂理には逆らえない」。

ラウル・グリハルヴァ下院議員(民主党、アリゾナ州)はニューヨーク・タイムズに対し、民主党は「ほかの候補を探す」時期に来ていると語った。

それでも、ホワイトハウスとバイデン陣営は、バイデン氏が今後について積極的に検討しているとの報道を強く否定。同氏は11月に再びトランプ前大統領を打ち負かす決心だとしている。

「再選が危ういと認識」と報道、ホワイトハウスは否定

ニューヨーク・タイムズと米CNNは3日、バイデン氏が盟友の1人に、選挙戦にとどまるかどうか検討していると語ったと報じた。

両メディアは、大統領がこの人物に対し、自分の再選は危ういと認識しており、米ABCニュースのインタビューやウィスコンシン州で5日に予定されている集会などが選挙戦にとって極めて重要になると話したとしている。

一方、バイデン氏側の報道官の1人は、この報道は「まったくの誤り」だと否定した。

ホワイトハウスのカリーン・ジャン=ピエール報道官もその後、バイデン氏が選挙戦から撤退するかもしれないという報道は真実ではないと述べた。「我々は大統領にこのことを尋ねた。大統領は直接(中略)『いや、それはまったくの誤りだ』と答えた。大統領から直接聞いた話だ」。

バイデン氏離脱の場合、後任は誰に

バイデン氏は3日夕、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事ら民主党の知事20人と面会した。両知事はバイデン大統領の後任候補として名前があがっている。

ただ、最有力と目されているのはハリス副大統領だ。59歳のハリス氏は低い支持率に悩まされてきたが、バイデン大統領とトランプ前大統領の討論会以降、民主党員の間で支持が高まっている。

ハリス氏は討論会後すぐの米CNNのインタビューで、バイデン氏への全面的な支持を表明し、冷静さをみせた。ハリス氏に近い情報筋はBBCニュースに、「彼女には何も変化はない」と述べ、選挙戦のために引き続き活動していくだろうと付け加えた。

「彼女は常に、大統領の良きパートナーであろうと心掛けてきた」と、ハリス氏の元広報部長ジャマル・シモンズ氏は述べた。

「最終的に候補者を誰にするかを決めるのは、大統領に忠誠を誓っている人たちであるべきだ。彼女の一番の役目は、大統領のパートナーになることだ」

8月の民主党の全国党大会では、バイデン氏を正式に党の候補に指名し、全米の投票用紙にその名を記載するかを決める投票が実施される。

これを担う民主党全国委員会のメンバーで、複数の代議員と話をしたことがあるという人物は、バイデン氏が出馬を取りやめる場合はハリス氏が後任に指名されるべきだと、BBCに語った。

「党大会で誰もが指名の可能性があるとなったら、混乱を引き起こし、我々は11月に不利になる」

こうした中、米紙ワシントン・ポストは、バイデン氏とその陣営は今後数日のうちに大統領としての適性を示さなければならないと認識していると報じた。

取材協力:アダム・レヴィ、ブラジェシュ・ウパディヤイ

(英語記事 'I'm not leaving', Biden says, as pressure to drop out grows

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cn093vj3gvlo


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