世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月26日

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 これら新設の委員会によって、習は鄧小平以来の最強の指導者になろう。しかし、肝心なのは、習が獲得した力で何をするかだ。この先、農村改革、党権力の抑制、法の支配等で大きな変化が起きれば、中国が良き方向に進むことになった出発点として今回の3中全会を振り返ることができよう。しかし、習が何もしなければ、中国は危険な方向に向かって行くことになる。

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 習近平が、政府、党、軍の三権を握る近来にない最強の指導者であることは、組織の上では明白です。だから改革に期待できるというのが上記論説ですが、それほど楽観視はできないのではないかと思います。

 それは、今までの習近平の言動には、確かに斬新的なものがあったが、その内容は、すべて、羊頭狗肉の感があったからです。

 全人代の演説で、従来のマルクス・レーニン主義の決まり文句でなく、「中国の夢」を語ったのは、表現上は斬新でありましたが、内容は、社会主義の堅持と自由民主主義の拒否でした。外交政策では、「新しい大国関係」を打ち出しましたが、内容は、従来と変わらず、米国に一方的譲歩を要求するものでした。

 また、中国を取り巻く客観情勢は、大規模な改革を打ち出すほど甘くは無いと思います。経済成長の停滞、そして腐敗、公害等に対する国民の不満を抑えるためには、高い治安能力を維持する必要があるのでしょう。国家安全委員会の設置は、主として、そのためと思います。一方、経済の停滞を突破するためには、市場重視は必要ですが、それも、厳しい統制下の部分的なものにならざるを得ないと思います。

 また、習近平の権力固めもまだ進行中と思われます。

 新華社によれば、春の全人代以来、11名の高官が汚職の罪に問われています。それは2008年から2012年までの、年平均5.8名をすでに大きく上回っています。そして、その対象となったのは、南京市長をはじめ、11名全員、江沢民と親しかった人物のようです。汚職は普遍的であり、誰を摘発するかは政治判断によるとすれば、中国内の権力闘争はまだ続いていると考えられます。

 中国内の権力闘争が続く限り、日本の中国政策は、現在通りの様子見で良いと思います。日本の首脳と仲良くしている映像などが映し出されることは、習近平にとって、国内の権力闘争上危険なことであると言う状態が続く限り、日本側のアプローチは慎重である他ないでしょう。

 先方が後顧の憂い無く日本との友好を示せるようになるまでは、日本は静観すべきものと思います。

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