2024年8月1日(木)

BBC News

2024年8月1日

英イングランド北西部サウスポートで7月29日、子供向けのダンス教室が刃物を持った人物に襲われ子供3人が殺害された事件をめぐり、マージーサイド警察は31日、逮捕されていた17歳少年が3件の殺人罪で起訴されたと発表した。この日、ロンドン中心部などでは、この事件に絡む暴力的な抗議が発生。ロンドンでは100人以上が逮捕された。

被告は8月1日にリヴァプール治安判事裁判所に出廷する予定。未成年のため名前は公表されていない。3件の殺人罪に加え、10件の殺人未遂と1件の刃物所持の罪でも起訴されている。

この事件では、ビービー・キングさん(6)、エルシー・ドット・スタンコムさん(7)、アリス・ダシルヴァ・アギアールさん(9)が亡くなった。全員女の子で、アギアールさんは重体だったが30日早朝に死亡した。さらに、子供8人と大人2人が負傷しており、何人かはなお重体だという。

イギリス検察庁(CPS)マージー・チェシャー支庁のアースラ・ドイル副長官は、「被告人に対する刑事訴訟は現在進行中であり、被告人には公正な裁判を受ける権利があることを、すべての関係者に呼びかける」と話した。

「いかなる形であれ、この訴訟手続きに不利となるような報道、論評、オンラインでの情報共有がなされないことが極めて重要だ」

「私たちの思いは、この悲惨な出来事によって影響を受けたすべての人々の家族と共にある」

マージーサイド警察のセリーナ・ケネディー本部長は、「今回の起訴は、この捜査における重要なマイルストーンだ。しかし、捜査はまだ継続中で、我々はランカシャー警察や北西部のテロ対策警察のパートナーとの協力を続けている」と述べた。

事件当日、サウスポートのハート通りで開催されていた夏休みのダンス教室は、6歳から10歳までの子供たちを対象としていた。

米歌手テイラー・スイフトさんをテーマとしたイベントが行われていたが、午前11時50分直前に、警察に刃物による襲撃事件の通報があったという。

現場に駆け付けた警官らは、複数の人々が「凶暴な攻撃」を受け、重傷を負っているのを発見した。負傷者の多くは子供だったという。

警察は、子供たちがダンス教室に出席していたとき、ナイフで武装した人物が建物に入ってきて、中にいた子供たちを攻撃したと考えている。

また、2人の大人が「勇敢にも」攻撃から子供たちを守ろうとし、重傷を負ったとみている。

ロンドン中心部などで暴動が発生、100人以上逮捕

サウスポートでの事件と、その翌日に現地で起きた暴動を受け、31日にはロンドン中心部などでも抗議活動が起こった。ロンドン警視庁は、この抗議で100人以上が逮捕されたと発表した。

ロンドン警視庁によると、31日夜の夕方、暴力による治安妨害、救急隊員への暴行、抗議行動条件違反など、さまざまな犯罪容疑で逮捕者が出たという。

警察は声明の中で、「治安妨害を鎮圧する」ために警官が派遣されたが、何人かが「軽傷を負った」と発表した。

抗議参加者らは、首相官邸のあるダウニング街近くで警察と衝突。首相官邸の門や、ウィンストン・チャーチル元首相の銅像に火炎物を投げつけるなどした。

また、「ボートを止めろ」、「子供たちを守れ」といった合唱が起こった。ボートとは、英仏海峡を小型ボートを使って渡り、渡ってイギリスに不法入国しようとする移民を指しているものと思われる。

イングランド北東部ハートルプールでも暴力行為が発生し、警官数人がけがをした。

この暴動では、抗議者がガラスのびんや卵を警官に投げつけたほか、警察車両が放火された。警察は治安妨害の容疑で8人を逮捕した。

サウスポートでは30日、刺殺事件を受けた暴動が発生した

暴徒の集団は警察車両や救急車両に火をつけたほか、警官やモスク(イスラム教寺院)に向かって物を投げつけるなどした。多数の警官が負傷した。

暴動は、ソーシャルメディアに投稿された、事件とイスラム主義の関連を示唆する偽情報にあおられたものとみられている。

警察は、極右団体「イングランド防衛同盟(EDL)」の支持者たちが一連の暴力行為の背後にいるとみている。

(英語記事 17-year-old charged with murder of three girls in Southport attack/More than 100 arrests in London protest after Southport attack

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cl7ylnwy7ejo


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