2024年8月1日(木)

BBC News

2024年8月1日

米国防総省は7月31日、2001年9月11日に世界貿易センタービルや国防総省が襲われた同時多発攻撃で、ハイジャック攻撃を計画した罪に問われている3人の被告との間で司法取引の合意が成立したと発表した。

ハリド・シェイク・ムハンマド被告、ワリド・ムハンマド・サリフ・ムバラク・ビンアッタシュ被告、ムスタファ・アフメド・アダム・アルハウサウィ被告の3人は、裁判が行われないまま、米海軍がキューバに置くグアンタナモ基地に収容されている。

米メディアによると、検察側が死刑を求刑しないことへの同意と引き換えに、3人は有罪を認めることになるという。

司法取引の条件はまだ発表されていない。

2001年9月11日のこの攻撃では、イスラム原理主義の武装勢力アルカイダの実行犯グループがアメリカの旅客機4機をハイジャック。うち2機がニューヨークの世界貿易センタービルに、1機がワシントン郊外の米国防総省の西壁に突入した。残りの1機はワシントンの連邦議会議事堂かホワイトハウスに向かっていたとみられるが、乗客がハイジャック犯に抵抗し、ペンシルヴェニア州シャンクスヴィルで墜落した。

ハイジャック犯とされる19人を除き、この攻撃で3000人近くが亡くなった。アメリカ領土での攻撃としては、1941年の旧日本軍による真珠湾攻撃以来の死者数だった。

また、この攻撃が、アメリカの「対テロ戦争」と、アフガニスタンとイラクへの侵攻の引き金となった。

「死刑の可能性を排除」と説明

米紙ニューヨーク・タイムズによると、今回の司法取引は検察が犠牲者の家族に送った手紙の中で初めて発表された。

主任検事を務めるアーロン・ルー少将からの手紙には、「求刑から死刑の可能性を排除する代わりに、この3人の被告人は、2976人の殺害を含む、告発状に記載されたすべての起訴事実について有罪を認めることに同意した」と書かれている。

被告らは、民間人への攻撃、戦争法違反による殺人、ハイジャック、テロ行為など、多くの罪に問われている。

同紙は、3人は早ければ来週にも、法廷で正式に有罪を認める予定だと報じている。

一連の攻撃では、ハリド・シェイク・ムハンマド被告が主犯格だったとみられている。

ムハンマド被告はアメリカで教育を受けた技師だった。2003年にアルハウサウィ被告と共に、パキスタンで拘束された。

検察側は、ムハンマド被告が、当時のアルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディン容疑者(故人)に、飛行機をハイジャックしてアメリカのビルに突入させるというアイデアを持ち込んだ張本人で、ハイジャック犯の何人かを雇用し訓練するのも手伝ったと主張している。

アメリカ政府によって禁止されるまで、ムハンマド被告は少なくとも183回、溺死を疑似体験させるいわゆる「水責め」を含む、多くの「強化尋問」を受けた。

ルー少将は家族への手紙の中で、取引に応じるという決断は「軽々しく下したものではない」が、「正義への最善の道」だったと説明している。

ジョー・バイデン政権は昨年9月、グアンタナモ海軍基地に拘束されているムハンマド被告ら5人との司法取引の条件について拒否したと報じられた。

5人は、独房に閉じ込められず、トラウマ治療を受けられるという保証を大統領に求めたとされる。

ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は、大統領府は7月31日に新たな取引について知らされたが、交渉には関与していないと述べた。

犠牲者家族や共和党は取引に反発

攻撃で妻を亡くしたジム・スミスさんは、米紙ニューヨーク・ポストに、犠牲者の家族は「この動物たちが私たちの愛する人たちに何をしたのか、法廷で記録に残す日を23年間待っていた」と語った。

「彼らは私たちからその機会を奪った」とスミスさんは言い、自分たちの行為に対して「最高の罰」を受けるべきだと付け加えた。

野党・共和党もまた、被告人らと取引したバイデン政権をすぐに攻撃した。

ミッチ・マコーネル上院少数党院内総務は、この動きを「アメリカを守り、正義を提供するという政府の責任を放棄するものだ」と非難した。

「テロリストと交渉することより悪いのは、テロリストが拘束された後に交渉することだ」

(英語記事 Three men accused of plotting 9/11 reach plea deal - Pentagon

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cxw2vgpz4wzo


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