2024年8月1日(木)

BBC News

2024年8月1日

イランは1日、前日に首都テヘランでイスラム組織ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ政治局長(62)が殺害されたことについて、ハニヤ氏暗殺の責任はイスラエルにあるとして「厳しい罰」を加えると警告した。

米メディアはイラン政府関係者の話として、同国の最高指導者がイスラエルに対する直接攻撃を命じたと伝えた。

ハニヤ氏が死亡したとされる7月31日午前2時ごろの攻撃について、イスラエルはこれまでのところ直接コメントしていない。

ただ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はテヘランでの攻撃が起きる数時間前、ここ数日でイスラエルのすべての敵に「強烈な打撃」を与えたと述べていた。これには、イスラエル軍が7月30日にレバノンの首都ベイルートの南郊を空爆し、イスラム教シーア派組織ヒズボラの最高幹部フアド・シュクル氏を殺害したことも含まれる。

中東でのエスカレーションへの懸念

中東でのより広範な紛争への懸念が高まる中、ネタニヤフ氏は「困難な日々が待ち受けている」とイスラエル国民に警告した。

「ベイルートでの攻撃以降、あらゆる方向から脅威が迫っている」と、ネタニヤフ氏はテレビ演説で述べた。

「我々はいかなるシナリオにも備えている。いかなる脅威に対しても団結し、断固として立ち向かう」

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、中東における敵対行為の「危険なエスカレーション」が起きる可能性を警告している。国連安全保障理事会は7月31日夜、中東情勢について協議する緊急会合を開いた。

ハマスの軍事部門は、ハニヤ氏の死は「戦いを新たな次元へと引き上げ」、大きな影響を及ぼすだろうとしている。

ミサイルが直撃との目撃談

ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害した。イスラエルは直後にハマス壊滅を掲げて、同組織が実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区への報復攻撃を開始した。

ガザ停戦をめぐる交渉で重要な役割を果たしていたハニヤ氏は、イランのマスード・ペゼシュキアン新大統領の就任式に出席するため、テヘランに滞在していた。ハニヤ氏は就任式出席から数時間後に殺害された。

ハマス幹部の1人がBBCに語ったところによると、ハニヤ氏が殺害された際にいた建物は、同氏が以前イランを訪れた際にも滞在していた場所だった。

この建物には当時、ハニヤ氏と共に、ハマス指導者3人と多数の護衛がいたという。

ハマス幹部のハリル・アル=ハイヤ氏は記者会見で、ハニヤ氏と一緒にいた目撃者の話に言及し、ミサイルがハニヤ氏を「直撃」したのだと述べた。

ハマス指導部は「ショック状態」に陥っていると、ハマス関係者はBBCに語った。

ハニヤ氏が標的にされる数時間前、イスラエルはレバノン・ベイルートでヒズボラの最高幹部シュクル氏を殺害したと発表した。

イスラエルは同国が占領するゴラン高原で27日にあったロケット砲攻撃の責任を、シュクル氏が負っていたとみている。この攻撃では、12人の子供や若者が殺害された。ヒズボラは関与を否定している。

ヒズボラ、最高幹部の死亡を認める

イランの支援を受けるヒズボラは、30日に攻撃を受けた建物のがれきの中から、シュクル氏の遺体が見つかったことを認めた。

ヒズボラがイスラエルの攻撃への対応を取るのは、ほぼ確実と言える。

ヒズボラは過去に、複数幹部が殺害されたことを受け、イスラエルにロケット弾を撃ち込んだことがある。

アメリカは国民向けの渡航ガイダンスを更新。「緊張の高まり」を理由に、レバノンへの渡航を控えるよう勧告している。

イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、レバノンから出国するよう国民に促している。

アメリカのユナイテッド航空やデルタ航空、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズは、イスラエル・テルアヴィヴ行きの便の運航停止を発表するとみられる。

(英語記事 Iran vows revenge after Hamas leader assassinated in Tehran

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/czq65elge0wo


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