2024年8月14日(水)

BBC News

2024年8月14日

シャイマ・ハリル(東京)、ケリー・アン(シンガポール)

岸田文雄首相(67)は14日、9月の自民党総裁選での再選を目指さない意向を表面した。記者会見で、「自民党が変わることを示す」必要があると述べた。

岸田氏は、総裁選で新総裁が選出されたあと、首相を退任するとみられている。

岸田氏への支持は、自民党が汚職スキャンダルにまみれ、政府が生活費の上昇や円安と闘うなか、低下している。支持率は先月、自民党が政権復帰した2012年12月以降の首相としては最低の15.5%に落ちた

岸田氏は記者会見で、「今回の総裁選挙では、自民党が変わる姿、新生自民党を国民の前にしっかりと示すことが必要だ」と述べた。

そして、「そのためには透明で開かれた選挙、そして何よりも、自由闊達(かったつ)な論戦が重要だ。その際、自民党が変わることを示す最も分かりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ」とした。

自民党内では、来年秋までにある次の総選挙で、岸田氏が自民党を勝利に導くことができるのか、疑問の声が出ていた。

アナリストらは、自民党がイメージの刷新を図るなか、日本は「一世代に一度」の政治危機を迎えているとBBCに話した。

自民党では昨年12月、故安倍晋三元首相が率いていた最大派閥「清和政策研究会」の政治資金集めをめぐるスキャンダルで、2週間のうちに閣僚4人が辞任。副大臣5人と政務官1人も辞表を提出した。

検察当局は数十人の自民党議員について、収入の一部を「裏金」化していたとされる政治資金集めのパーティーを通して利益を得ていたか、捜査を開始した。

しかし、このスキャンダルに対する岸田氏の対応は世論の批判を浴び、支持率が落下した。

このスキャンダルは、過去半世紀で最も速いスピードで進行する食料品価格の高騰に、各家庭が苦慮するなかで明るみに出た。

世界第5位の経済大国の日本は、長く停滞が続いている。平均所得はこの30年間上昇していない。また、急速に高齢化が進んでいる。

経済の苦境と政治資金集めのスキャンダルが相まって、野党が非常に弱く分裂しているにもかかわらず、与党・自民党への不信感は高まっている。

岸田氏の動きは、自民党内の刷新を望む声の強さを示すものだ。ただ、総裁の交代が国民の信頼を取り戻し、党のイメージを回復できるかが課題となる。

(英語記事 Japan set for new PM as Kishida bows out as party leader

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cze5dp5672yo


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