「海のはじまり」(フジテレビ系・毎週月曜よる9時)は、中途難聴者役に目黒蓮を配した大ヒットドラマ「silent」と、都会の孤独な若者が偶然触れあうようになる傑作「いちばんすきな花」をてがけた脚本家の生方美久の3部作目ともいえる作品である。青春ドラマの新しい領域を切り開いた最高傑作である。
大学生時代に恋人同士だった、月岡夏(目黒蓮)と南雲水季(古川琴音)。水季は夏の子どもを妊娠して、中絶することを決め夏に承諾書にサインを求める。手術の日、産婦人科の前の道に夏は心配げにたたずんでいる。産科を出てきた水季は「なにか食べに行こう。なにを食べてもいいっていわれたから」と。
水季は夏に知らせることもなく、大学を中途退学する。夏のスマホに水季から電話がかかってくる。
水季 「別れよ。別れてください。夏君よりすきになっちゃた、ずーっと一緒にいたい人ができたんだよね」
夏 「誰?」
水季 「内緒、秘密……」「その人になにか伝えたいことある?」
夏 「あるわけないだろう……お幸せに。(水季は)マイペース、わがまま、薄情、その人に捨てられる」「ごめん、体本当に大丈夫?」
水季 「うん、元気でね、バイバイ」
それから、7年。水季が亡くなったことを友人からの連絡で知る。夏は水季の葬儀に参列するために水季の地元に向かう。