2024年8月13日(火)

BBC News

2024年8月13日

ジェシカ・マーフィー、BBCニュース

米富豪イーロン・マスク氏は12日、所有するソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」で、ドナルド・トランプ前米大統領と親しげに会話する様子を公開した。その中でトランプ候補は、連邦政府の教育省を廃止する考えを示した。

マスク氏は前大統領に好意的な様子で、移民やインフレ問題などについて質問した。ただし、多くの利用者がなかなかアクセスできず、開始時間は予定より40分遅れた。

マスク氏たち関係者はこのイベントを「インタビュー」と呼んでいたものの、トランプ氏によるいくつかの無根拠な発言について、マスク氏がその内容を問いただすことはなかった。

マスク氏はあらためて、今年11月のアメリカ大統領選で共和党候補のトランプ前大統領を支持すると表明した。大統領選では、新しく民主党の大統領候補になったカマラ・ハリス副大統領が勢いを得ている。

マスク氏は最近、トランプ陣営を支援する新しい政治委員会を発足させた。この日の会話では、「アメリカはいま分岐点に差しかかっていてる。あなたは繁栄への道で、カマラはその反対だ」とトランプ候補に伝えた。

2人は、トランプ候補が7月にペンシルヴェニア州の集会で撃たれたことや、アメリカにイスラエルの「アイアン・ドーム」のような防空システムを整備したいと考えていることなど、さまざまな話題について話し合った。トランプ陣営が重要課題に掲げている、移民問題にも触れた。

トランプ候補はさらに、自分が当選すれば真っ先に連邦政府の教育省を廃止し、教育に関する責任はすべて州政府に移管するつもりだと話した。

両者の関係はこれまで様々に変化し、オンラインで互いを中傷しあったこともある。ただしこの日は親しげに互いをたたえあった。

かねて電気自動車(EV)に否定的で連邦政府の助成を廃止すると約束していたトランプ候補は、マスク氏が所有するテスラのEVを称賛。マスク氏が自分を支援する以上、自分はEVを「支持するしかない」と述べ、テスラ製自動車をたたえた。

マスク氏はこの日の会話になかなか視聴者がアクセスできず、公開に技術的な問題があったのは、大々的なDDOS(サーバーに意図的に過剰な負荷をかける分散型サービス妨害)攻撃のせいだと説明している。

ただし、BBCが取材した専門家の一人は、それは考えにくいと話した。

シンガポールの戦略的サイバー空間・国際関係研究センターのアンソニー・リム所長はBBCに、「DDOS攻撃は、オンラインのターゲットをかく乱するために大量の信号を送る攻撃だが、これが一つのウェブサイト上でたったひとつのサービスや機能に影響を及ぼすというのは、考えにくい」と話した。

リム氏は、大勢の利用者が一斉にマスク氏とトランプ前大統領の会話を見ようとしたことから、一時的にサービスがダウンした可能性はあると話した。

一方で、IT企業ダモヴォのアンドリュー・ヘイ氏は、この日の問題がサイバー攻撃によるものだった可能性はあると話した。

マスク氏との会話のため、トランプ前大統領はこの日、Xに久しぶりに投稿した。2021年1月6日の米連邦議会襲撃を機に、当時のツイッター運営陣は前大統領のアカウントを凍結したが、2022年になってツイッターを買収したマスク氏がそのアカウントを復活させていた。

(英語記事 Musk hosts friendly chat with Trump on X after tech delays

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cje2x44w403o


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