2024年8月13日(火)

BBC News

2024年8月13日

アメリカのドナルド・トランプ前大統領の選挙陣営が、イラン政府のために活動するハッカーの標的にされたと訴えており、連邦捜査局(FBI)が12日、捜査を始めたと明らかにした。

トランプ陣営の広報担当はBBCに、「アメリカに敵対的な外国の情報源」が同陣営の文書を違法に入手したと述べた。

FBIは短い声明で、「この件を捜査している」と発表。前大統領にもイランにも言及しなかった。

BBCが提携する米CBSニュースが、捜査について知る立場の人々の話として伝えたところでは、イランのハッカーがジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領の陣営を狙った可能性についても、FBIは調べているという。

イラン当局はハッキングとの関連を否定している。米政府はこれまでのところ、この件で正式にイランを非難していない。

ハッキングをめぐっては、米マイクロソフトが9日、不特定の大統領候補の選挙陣営が6月に、イランのハッカーの標的になっていたとする報告書を公表した。

トランプ陣営は翌10日、自分たちが狙われたとする声明を発表。前大統領は、「(ハッカーは)公に入手できる情報しか得られなかった」とした。

マイクロソフトの脅威分析センター(MTAC)によると、選挙陣営には「スピアフィッシング」メールが送られたという。「スピアフィッシング」とはこの場合、「スピア=やり」で魚を刺す釣りの手法に似て、攻撃対象の狙いを定めて、悪意あるリンクをクリックさせようとする行為。

CBSニュースによると、両陣営でフィッシング詐欺未遂があった後、FBIが初夏に捜査を開始した。

米紙ワシントン・ポストによると、FBIがハッキング未遂の捜査に着手したのは今年6月だという。バイデン大統領が大統領選からの撤退を表明するしばらく前に、バイデン=ハリス陣営のスタッフ3人にもフィッシングメールが送り付けられていたと同紙は伝えた。

ハリス陣営はメディアへの声明で、「サイバー脅威を注意深く監視し、自分たちを守っている。私たちのシステムでセキュリティーの侵害があったとは認識していない」とした。BBCはハリス陣営にコメントを求めている。

下院議員らFBIに説明求める

アダム・シフ下院議員(民主党)ら数人の議員はFBIに対し、ハッキング未遂に関する情報を明らかにするよう求めている。

シフ氏は、2016年に「ロシアがハッキングとダンピングの計画を実行したと適切に特定するには、(米情報機関の)動きが遅過ぎた」と主張。「今回は迅速に行動すべきだ」と述べた。

エリック・スウォルウェル下院議員(民主党)は、「トランプの大統領選挙運動のハッキング疑惑」に関して、国土安全保障省に説明を求めているとしている。

スウォルウェル氏は10日、「たしかに、トランプはこれまでで最も卑劣な候補だ。過去の選挙では、ハッキングするよう外国に呼びかけたこともある。(中略)しかし、だからといってアメリカが外国の干渉を容認することには決してならない」とX(旧ツイッター)に投稿した。

共和党のトランプ候補は2016年の選挙集会で、当時の対立候補だったヒラリー・クリントン元国務長官をハッキングするようロシアに求めた

米治安当局筋は以前、イランによるトランプ候補の暗殺計画について警告を発していた。同候補をめぐっては、ペンシルヴェニア州で先月、銃撃事件が起きたが、これとは無関係とされる。

今月6日には米司法省が、イランとつながりがあるとされるパキスタン人男性を、米政府高官らの暗殺を企てた罪で起訴した。暗殺の対象にはトランプ候補も含まれていた可能性があるとされる。

(英語記事 FBI probes claims Iran hacked Trump campaign

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4gdw9g1j1go


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