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オリンピックに絡んで拡散される写真や話題は、金メダル獲得に関するものだけではない。
パリと世界中で数百万人が観戦していた今大会では、あらゆることが注目を集めた。
そして今の世界では、いつ何が一気に拡散されるかわからない。選手自身や、実際に試合を見ていた人の意図を超えて。
今大会最高の注目トピックを紹介する。
競泳プールのファンキーなトランクスの男性
競泳会場のラ・デファンス・アリーナでは、長年のトレーニングで引き締まった体つきをした選手たちが見事な泳ぎを披露した。
だがそんな選手たちも、水泳帽がプールの底に沈んでしまったときには、誰かの助けが必要だった。
そんなときに現れるのが、ファンキーな色のトランクスを着けた中年男性だった。彼がプールに飛び込んで帽子を回収すると、観客からは歓声が沸き、男性は手を上げて応えた。
さりげないすご腕
みんなにまねされるのは、かっこいいから。
射撃の混合エアピストルで銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケチュ選手(51)は、パリで一番の人気者かもしれない。
競技では、他の選手と異なり、専用ゴーグルなどのハイテク装備などは身に着けない。ピストルを握っていない方の手は、さりげなくポケットに突っ込んだまま。そうやって淡々と撃つ姿は、まねする人が相次いだ。
いろいろな装備を付けていないことから、日本のソーシャルメディアでは「無課金おじさん」の愛称さえついた。オンラインゲームで装備に課金しないことをたとえにした表現だ。
ソーシャルメディアでも、画像や似顔絵がたちまち拡散した。スウェーデンの棒高跳びのアルマンド・デュプランティス選手や、トルコのサッカーMFイルファン・カン・カヴェチ選手も、成功を祝う際にこの射撃ポーズを取った。
マフィン・マン
選手村のチョコチップマフィンの「食レポ」で話題になったのが、ノルウェーの競泳のヘンリック・クリスチャンセン選手だ。
ソーシャルメディアの自身のアカウントで、マフィンを10点満点で11点と評価。「とんでもなく」おいしいと投稿した。
この投稿は他の選手たちからも注目され、独自にマフィンのレビューを投稿する選手も出た。
クリスチャンセン選手は、自由形800メートルと1500メートルでは決勝に進めず、オープンウォーター10キロでも25位に終わったが、「マフィン・マン」という新たなニックネームを手に入れた。
ひれ伏すバイルズ、チャイルズ両選手
体操女子のゆかで、黒人選手が表彰台を独占し、新たな歴史を刻んだ。
その最も高い場所に立ったのは、ブラジルのレベッカ・アンドラーデ選手だった。銀メダルのアメリカのシモーン・バイルス選手と、銅メダルのアメリカのジョーダン・チャイルズ選手は、ともに隣でひれ伏すようなポーズを取った。
4個目の金メダルを逃したバイルス選手は、「ああするのがぴったりだった」と話した。
チャイルズ選手はこのあと残念ながら、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定により銅メダルを剥奪(はくだつ)された。
あん馬マシーンに一変
アメリカの体操男子のスティーヴン・ネドロシク選手(25)は、眼鏡をかけ、集中した状態であん馬の出番を待っていた。
そして順番が回ってくると、眼鏡を外し、「あん馬マシーン」に変身。落ち着いた演技を披露した。
団体と個人の両方で銅メダルを獲得すると、ネドロシク選手のガールフレンドは自身のXのプロフィールを「Ms Pommel Horse(ミスあん馬)」に変更した。
ルービック・キューブが得意なネドロシク選手の姿を「スーパーマン」のクラーク・ケントと比べる人も大勢いた。同選手はメダル獲得を喜ぶとき、アメリカ国旗をマント代わりに使った。
演技よりも珍事
フランスの棒高跳びのアントニー・アンミラティ選手(21)は、地元開催の大会で決勝に進出する機会を、ちょっと変わった状況の中で逃した。
試技でバーに股間があたり、それでバーが落ちてしまったのだ。その映像が拡散し、ふだんはあまり話題にならない予選が、メディアで次々と取り上げられた。
オンラインでは多くの人が、このジャンプのせいで決勝に進めなかったと面白がったが、実際はそうではなかった。
アンミラティ選手は「パフォーマンスよりもパッケージ(俗語で男性器)のほうが話題になるとは」とソーシャルメディアに投稿した。
豪ブレイキン選手の苦闘
オーストラリアのブレイキンのレイチェル・ガン選手(36、ダンサー名はRaygun)は、今大会で初めて実施されたこの新競技で、世界の観客の心を捉えることはできなかった。
大学講師の同選手は、予選で54-0のスコアで敗れた。ステージで跳ね、回転し、逆立ちする姿はカンガルーのようだと、ソーシャルメディアで嘲笑された。
同選手は「違う動きをしたかった」と話した。
パリ五輪の1枚?
今大会のベスト写真として話題になったのがこの1枚だ。
サーフィン男子で銅メダルを獲得したブラジルのガブリエル・メジナ選手を、フランス人カメラマンのジェローム・ブルイエさんが撮影した。
波から出た同選手は一瞬、まるで地面に立っているかのような姿勢に空中でなった。後方では、ボードが同じ格好をとっていた。
どうしてメダルをかむの
「なぜ選手はメダルをかむのか」。女子体操の種目別平均台の中国の周雅琴選手は、父子に思っているかもしれない。
銀メダルを獲得した周選手は表彰式で、金メダルを勝ち取ったイタリアのアリチェ・ダマト選手と、銅メダルのマニラ・エスポジト選手がメダルにかみつくのを見て、困惑した表情を浮かべた。
そして同じようにしたが、メダルを唇に当てただけで、歯は立てなかった。
この動作は、もともとは金が本物かどうか確認するためのものだった。今ではカメラマンらが、メダルが本物かを確認するために選手に求めるようになっている。
アメリカのマスコット
アメリカ人ラッパーでレコードプロデューサーのスヌープ・ドッグさんは、パリのほぼすべての会場で目撃された。
米NBCの現地レポーターとしてあれこれコメントすると同時に、自分の存在をアピールするのも忘れなかった。
馬術観戦では、馬術の競技用ウエアをしっかり身に着けて登場。バイルスの跳馬演技には、「思わず」といった感じでサングラスを持ち上げた。目を見開いているのが見えたその表情も、ネットで一気に広まった。あちこちの会場で見せたその姿は、パリ大会にとって欠かせない存在になった。
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