パリ・オリンピック（五輪）が11日、幕を閉じた。午後9時（日本時間12日午前4時）ごろから閉会式が行われ、スポーツ、映画、音楽界のスターらが集まった。
今大会のメイン会場スタッド・ド・フランスであった式典では、2028年の次回大会が開かれる米ロサンゼルスへの引き継ぎがあり、俳優トム・クルーズさんが屋上から降下。五輪旗を手にすると、オートバイに乗って去った。
閉会式の終盤にはロサンゼルスのヴェニス・ビーチで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ビリー・アイリッシュさん、スヌープ・ドッグさん、ドクター・ドレーさんといったスターが演奏した。
これより前にあった各国選手団の入場では、日本は陸上女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手と、新競技ブレイキン男子で4位だったSHIGEKIX（半井重幸）選手が旗手を務めた。イギリスの旗手は、トライアスロン男子で劇的な優勝を果たしたアレックス・イー選手と、トランポリン女子で同国初の金メダルを勝ち取ったブライオニー・ペイジ選手だった。
今大会、日本のメダルは金20個、銀12個、銅13個の計45個で、メダルランキング3位だった。イギリスは金14個、銀22個、銅29個の同7位に終わった。イギリスのメダル総数65個は、東京五輪での64個を1個上回った。日本は東京五輪で計58個のメダルを獲得していた。
国際オリンピック委員会（IOC）のトーマス・バッハ会長は閉会の演説で、今大会を「センセーショナル」だったと振り返った。
パリ・パラリンピックは、今月28日から来月8日まで開かれる。
「新時代のオリンピック」
来年IOC会長を退任するバッハ氏は、パリ五輪を「センセーショナル、あえて言えば 『セーヌ・セーショナル』」だったと、パリを流れるセーヌ川にかけた言葉で表現した。
また、「新時代のオリンピック」だったと評価。「より若く、より都会的、より包括的、より持続可能という私たちのオリンピック改革の下で完全に実現された」最初のオリンピックで、「完全な男女平等を実現した最初のオリンピック」だったとした。
さらに、「期間中、皆さんはオリンピック村のひとつ屋根の下で平和に暮らした。互いを受け入れた。互いを尊重した。たとえ戦争や紛争で分断された国同士であろうと。皆さんは平和の文化を作り出した」と述べた。
そして、「私たちは、オリンピックが平和を作り出すことはできないと知っている。しかし、オリンピックは世界に希望を与える平和の文化を作り出すことができる。だからこそ私は、『この平和の文化を日々生き長らえさせよう』というオリンピック精神の共有を、すべての人に呼びかけたい」と訴えた。
このほか、7月26日に雨に濡れたセーヌ川沿いの開会式で始まった大会を支えた4万5000人のボランティアに、特別な賛辞を送った。
次の開催地ロサンゼルスの紹介も
閉会式では、今大会を振り返るとともに、2028年に3度目の開催地となるロサンゼルスが紹介された。
スタッド・ド・フランスでR&BアーティストのH.E.R.が米国歌を歌うと、ロサンゼルスの映像が映し出された。
マウンテンバイクのケイト・コートニー選手、陸上界のレジェンドのマイケル・ジョンソンさん、スケートボードのジャガー・イートン選手が五輪旗を手に、ロサンゼルス市内のロサンゼルス・メモリアル・コロシアムやヴェニス・ビーチなどを訪れた。俳優のクルーズさんは、五輪の輪が飾り付けられた有名なハリウッド・サインの前にいる姿が映し出された。
ラッパーのスヌープ・ドッグさんは、ドクター・ドレーさんとともに、4年後を楽しみにさせる印象的な閉会式の最後を飾った。スヌープ・ドッグさんは今大会、米NBCの特別リポーターを務めた。
