ドラッグクイーンによる「最後の晩餐」や生首姿のマリーアントワネットという過激な演出で話題となったパリオリンピック(五輪)の開会式。ところが、お隣の韓国では、「朝鮮民主主義人民共和国」と誤ってアナウンスされたことで、ナショナリズムの火がついた。
オリンピックなど国際行事で、国名を間違ってアナウンスしたり、国旗を取り違えたりすることは稀にあることだが、筆者は今回の騒動から日本人が改めて認識しなければならない、大切なことが見えてくると考える。
沸き立つ韓国世論
7月26日に行われたパリ五輪開会式の騒動について、現地入りしていた韓国の文化体育部(日本の省に相当)の第2次官は、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との面談を求めつつ、韓国外交部にフランス側に強く抗議することを要請した。
そして、バッハ会長が27日、尹錫悦大統領に電話で、「言い訳の余地がないことが発生し、深く謝罪する」と述べたことで、騒動は沈静化するかに思えたが、そうはならなかった。
韓国では、フランスが韓国を民族差別していると世論が湧き立った。
まず、29日付の保守紙「朝鮮日報」が「パリ五輪公式インスタ、韓国だけが顔も国旗も見えないぼやけた写真…韓国ネット民憤慨『また差別だ』」と報じた。
問題となったのは、各国選手団がセーヌ川をボートに乗って入場したときの写真だ。同紙はSNSなどに投稿された「韓国の写真はわずか1枚、米国や日本は複数」「また差別待遇を受けた」「なぜ大韓民国だけがこうなる」など批判的なコメントを紹介している。
筆者が確認したところでは、公式インスタグラムによる入場パレードの投稿は14回で、そのうち国旗がボケているのは、確かに韓国だけだ。
写真をかじったことがある人なら、誰もが失敗した作品だと思うだろうが、意図的な差別であるとは断定できないだろう。ちなみに、米国は3枚、日本は2枚の写真が使われているが、他の国は1枚ずつの投稿となっている。
次に、オーストラリアのニュースサービス「9ニュース」が大会1日目の総合ランキングを報じたとき、韓国のところに誤って中国の国旗を表示した。これに韓国メディアはネット上の声を引用して反発した。