子どもたちが先の見えない時代を生き抜くために、専門的な力を身に付けさせたい。そういった 思いから「子どもを理系にしたい」という親が増えている気がします。確かに、どんなにテクノロジーが進んだ社会になっても変わらず求められるのは、テクノロジーそのものを生み出し、その真価を前へ推し進める知性でしょう。単位学力が高いだけでなく、目標に向かう方法や問題解決手段を自分で考える力があるか、努力する活力がありそれを持続させることができるかということが重要になります。
先取り学習や繰り返しのドリル学習では本物の理系力は身に付きません。大切なのは「数の感覚」や「理系的なものへの好奇心」をどう育てていくかです。本コラムでは、子どもを理系に育てる具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。
*本記事は『理系が得意になる子の育て方』(西村則康・辻義夫、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。
先取り学習や繰り返しのドリル学習では本物の理系力は身に付きません。大切なのは「数の感覚」や「理系的なものへの好奇心」をどう育てていくかです。本コラムでは、子どもを理系に育てる具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。
*本記事は『理系が得意になる子の育て方』(西村則康・辻義夫、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。
数える単位が変わると
文章問題が解けなくなる子は少なくない
子どもが数について理解を深められるのは、ここまでお話ししてきたようなご家庭での遊び方や学び方の習慣が基盤にあってこそです。しかし、就学以降の算数に対応できる力を確かなものにしていくために欠かせないものがあります。
理系に強くなるために必要な論理的思考力には、「数の理解」と「言葉の理解」が必要です。算数で最初につまずくことが多いのは文章問題ですが、数の理解でつまずいているというよりも、実は言葉の理解でつまずいているケースが少なくないのです。
ある5年生の子は、リンゴやミカンの文章問題は解けましたが、それがナシとイチゴに替わったら解けませんでした。
なぜそうなってしまうのか。「リンゴ3個とミカン2個を足す」と書かれていたら問題なく解けます。しかし、「足す」が「合わせると」「全部で」といった表現に変わるととたんにわからなくなるのです。
4年生くらいでこういう子は意外に多いのですが、5年生でこの状態というのは珍しいケースでした。それに、リンゴもミカンもナシもイチゴもすべて果物で、同じように「個」で数えるものが混乱してしまうのは非常にレアケースといえます。
数える単位はとても重要で、「何個」から「何羽」に変わったら「羽」が個数を示す単位とわからず、解けなくなる子はもっとたくさんいます。