引くと書いてないけど
「引き算」だとわかる感覚
2年生くらいの子の親御さんから、「計算が得意だったのに、計算塾へ行き始めてから算数の成績が伸び悩んでいます」という相談を受けることがあるのですが、そういう子を注意して見ていると、算数が伸びないのは計算塾へ通ったことが原因ではないことがはっきりとわかります。
引き算でも似たような例がいくつもあり、「小鳥が10羽います。3羽逃げました。何羽残っていますか?」と問題文にあるとき、「逃げる……って?」となるのです。これが「10 − 3」と書いてあれば計算できますが、「逃げる」=「引く」が結びつかないのです。
なかには、「何羽残っていますか?」という文章の最後だけを見て、「います」と堂々と答える子は低学年ではけっこうな数がいます。
教科書や問題集をよく見ていただくとわかるのですが、文章問題は「増えると」「減ると」、「足りないのは」「残りは」など、さまざまな表現がなされています。
1年生の算数の学習で重要なのは、「足すって書いてないけど、これは足し算だよね」「引き算しろってことだよね」と、子ども自身が自分の感覚でわかるようになることです。
ですから、お子さんが文章問題でうんうんうなっている様子を見て、「これは、10-3ってことでしょう?」などと肝心なところを先走ってしまうと、考えるヒントになるどころか学びのチャンスをふいにしてしまっていることを、知っておいていただきたいと思います。