2024年8月7日(水)

理系が得意になる子の育て方

2024年8月7日

 子どもたちが先の見えない時代を生き抜くために、専門的な力を身に付けさせたい。そういった思いから「子どもを理系にしたい」という親が増えている気がします。確かに、どんなにテクノロジーが進んだ社会になっても変わらず求められるのは、テクノロジーそのものを生み出し、その真価を前へ推し進める知性でしょう。単位学力が高いだけでなく、目標に向かう方法や問題解決手段を自分で考える力があるか、努力する活力がありそれを持続させることができるかということが重要になります。
 先取り学習や繰り返しのドリル学習では本物の理系力は身に付きません。大切なのは「数の感覚」や「理系的なものへの好奇心」をどう育てていくかです。本コラムでは、子どもを理系に育てる具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。

*本記事は『理系が得意になる子の育て方』(西村則康・辻義夫、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。
(Nadezhda1906/gettyimages)

子どもにとって数の「順番」の理解は簡単ではない

 10までの数の覚えはじめの頃、子どもは、1、2、3……と数えながら、7あたりになると「次は8だっけ……?」と、実はちょっと不安になっています。

 すでに数を覚えてしまった私たち大人にとって、数の「順番」は揺るぎないものですが、子どもの場合は違います。まだ数に親しんでおらず、実生活で数を使った計算もしたことがない年齢の子にとっては、数を正しい順番で数えるということ自体が容易ではないのです。

 10まで数えられるようになった子の最初のハードルが11以降の数です。どうしてそれがハードルになるかというと、10の位の数字が変わっても1の位は1から9までの繰り返しだということが理解できていないからです。だから、「12、13……」で詰まってしまったり、「17、15……」などとおかしなことになります。

 数を覚えるということには、まず、数の「順番」の理解が必要です。そのための最初のアクションが暗唱になるわけですが、その他にも親御さんからさまざまな働きかけができます。

 たとえば、バス停に並んでいるとき「○○ちゃんは前から何番目かな?」、絵本を読みながら「リボンをつけたクマさんは右から何番目?」(左右がわかる場合)と聞いてみます。

 数え方がわからないようなら、最初は一緒に数えてあげます。

 数字カードを利用する方法もあります。10の位の数だけを出して数の小さい順番に並べ替えるとか、カードを「11、12、17、14、15」の順に並べておいて、順番どおりになっていないところはどこでどのカードを入れれば正しい並びになるか考えさせるなど、実際に数字を目にしながら数の順番の理解を深めていきます。

 こうやって数に親しみながら、10の位の数字が増えることで数が大きくなっていくことがわかり、数の順番がサイクルであるという重要なポイントが子どもの中へ染み込んでいくのです。

 

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