2024年8月13日(火)

BBC News

2024年8月13日

ウクライナ軍の最高司令官は12日、同軍がロシア領土の1000平方キロを掌握していると述べた。同軍は2年半に及ぶロシアとの全面戦争で、最大規模の越境侵攻を続けている。

ウクライナ軍が越境攻撃を始めて7日目のこの日、同軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は、「(ロシア西部の)クルスク州で攻撃作戦を実施」し続けていると述べた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は毎夜の演説で、「(ロシアのウラジーミル・)プーチン(大統領)があくまで戦おうとするなら、ロシアを和平に迫い込む必要がある」と主張。

「ロシアは他国に戦争をもたらし、今それが自国に戻ってきている。ウクライナはずっと平和しか望んでいないし、必ず平和を手に入れる」と付け加えた。

ウクライナ軍は6日に奇襲の越境攻撃を開始し、ロシア領内に最大30キロメートル前進した。

ロシア・クルスク州では避難する住民が増えており、新たに5万9000人に避難指示が出された。同州知事は、28の集落がウクライナ軍に制圧され、民間人12人が殺害されたと説明。「状況は依然として厳しい」とした。

ロシアのプーチン大統領は、この攻撃を「重大な挑発」と位置づけ、「敵を私たちの領土から追い出す」よう軍に命じている。

プーチン氏は12日、国営テレビで放映された当局の会議で、「敵の明白な目標の一つは、不和や争いの種をまき、人々を脅し、ロシア社会の団結と結束を破壊することだ」と述べた。また、「現在の主な仕事はもちろん、国防省が敵を私たちの領土から追い払うことだ」とした。

クルスク州知事は、住民12万1000人が自宅から避難したと説明。ウクライナ軍に占領された地域には約2000人のロシア人が残っているとプーチン氏に伝え、「その人たちの運命については何も分からない」とした。また、州民には、窓のない頑丈な壁の部屋でミサイル攻撃から身を守るよう呼びかけた。

クルスク州の隣のベルゴロド州では、1万1000人近くが避難を指示された。同州のヴャチェスラフ・グラドコフ知事は、クラスナヤ・ヤルガ地区の住民に対し、「国境での敵の活動」が原因で移動することになったと説明。州民に、ミサイル攻撃に警戒し、地下室に避難するよう伝えた。

ウクライナに新しい危険との指摘も

今回の越境攻撃は、ウクライナ側の士気を大いに高めたとされる。一方で一部のアナリストは、ウクライナが新しい危険に直面することになったと指摘する。

イギリス軍高官は匿名でBBCに、激高するロシア政府がウクライナの民間人やインフラへの攻撃を倍加させる恐れがあると話した。

越境攻撃についてウクライナ当局は、数千人の兵士が関わっているとしている。ロシア国境警備隊は当初、小規模な侵攻を報告していたが、それよりもずっと規模が大きい。

ウクライナの当局者は、「最大限の損失を与え、ロシアの情勢を不安定にする」のが目的だとAFP通信に述べた。

ロシア国内では、ウクライナがどうしてクルスク州に侵攻できたのか疑問視する声も出ている。親ロシア戦争ブロガーのユーリ・ポドリャカ氏は、「心配な」状況だとしている。

一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ロシア軍が厳しい対応をするのに「長くはかからない」と述べた。

ロシアと同盟関係にあるベラルーシは、ウクライナがドローン(無人機)で領空を侵犯したと主張。国境における兵力を増強しているとした。

こうしたなか、アメリカのリンジー・グレアム上院議員(共和党)は12日、キーウでゼレンスキー大統領と会談。越境作戦を「見事」で「大胆」だと評価した。グレアム議員はさらに、ウクライナに必要な兵器を供与するよう、バイデン米政権に促した。

(英語記事 Ukraine claims to control 1,000 sq km of Russian territory

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/clynk9yjjldo


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