2024年8月13日(火)

BBC News

2024年8月13日

イギリスのキア・スターマー首相は12日、イランのマスード・ペゼシュキアン新大統領との電話会談で、イスラエルへの攻撃を「控える」よう要請した。

英首相官邸によると、スターマー首相はペゼシュキアン大統領に、「計算ミスが起きてしまうリスクは深刻だ。それだけに、今は落ち着いて熟慮する時だ」と伝えたという。

イギリスとイランの首脳が電話会談するのは、2021年以降で初。会談は30分に及んだ。

イギリス政府はまた、アメリカとフランス、イタリア、ドイツと共同声明を発表し、イスラエルを攻撃するという脅しを止めるよう、イランに求めた。

米英仏独伊の首脳はイランに対し、「イスラエルに武力攻撃の脅しをかけ続けるのを止め」るよう求めた。さらに、「そのような攻撃が実施された場合に、中東地域の安全保障にどういう深刻な影響が及ぶか話し合った」ことを、イランに伝えた。

また、「イランの侵略と、イランが支援するテロリスト集団による攻撃からイスラエルを守る」ことを支持すると表明した。

レバノンのスラム教シーア派組織ヒズボラや、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの幹部が相次いで暗殺されたことで、中東での紛争拡大の懸念が高まっている。ハマスもヒズボラも、イランの支援を受けている。

アメリカは11日、こうした懸念に対応するため、誘導ミサイルを搭載した潜水艦をこの地域に派遣したと認めた。この潜水艦は、陸上の標的を攻撃するためのトマホーク巡航ミサイルを最大154発搭載することができる。

また、戦闘機「F-35C」を載せたエイブラハム・リンカーン空母打撃群に、同地域への移動を加速するよう命じた。同艦はすでに、同地域にいる別の米軍艦と交代するために向かっていた。

米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官はその後、「イランとその代理人による攻撃が、おそらく数日中に行われる可能性が高まっている」というイスラエルの懸念を、アメリカが共有していると述べた。

「そのため、我々はイスラエルやその他の地域の関係者と継続的に話をしてきた」と、カービー氏は付け加えた。

一方、イスラエル国防軍(IDF)のダニエル・ハガリ報道官は、イスラエルは敵の脅威を深刻に受け止めており、「攻撃と防衛の準備はピークに達している」と述べた。

英首相官邸も12日、スターマー首相がペゼシュキアン氏に「この地域の情勢を深く憂慮しており、すべての当事者に対し、地域の対立を緩和し、さらなる対立を避けるよう呼びかけた」と述べたと発表した。

イランは、先月末に同国内でハマスの政治部門指導者イスマイル・ハニヤ氏が暗殺されたことについてイスラエルを非難し、イスラエルを罰すると宣言している。

イランのアリ・バゲリ・カニ外相代行は先週、ハニヤ氏殺害について「適切な」時期に「適切な」方法で対応すると述べた。

イスラム教徒住民が多数派の国々で構成する「イスラム協力機構(OIC)」も、ハニヤ氏殺害についてイスラエルが「全責任を負って」おり、、イランの主権への「深刻な侵害」にあたる「凶悪な攻撃」だとする声明を発表した。

イスラエルはこの件についてコメントしていないが、ハニヤ氏殺害の背後にイスラエルがいると広く信じられている。

7月にはガザ南部への空爆で、ハマスの軍事部門トップだったモハメド・デイフ氏を殺害したと発表。さらに、レバノンの首都ベイルートの南郊を空爆し、ヒズボラの最高幹部フアド・シュクル氏を殺害したと発表している。

こうしたなか、カナダのジャスティン・トルドー首相は12日、自国民に対し一刻も早くレバノンを離れるよう促した。緊張悪化を理由にしている。

すでにルフトハンザドイツ航空、スイス航空、英格安航空イージージェットなどが、中東へのフライトをキャンセルまたは停止している。

(英語記事 UK's Starmer urges Iran to refrain from Israel attack

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cdrlyp41mezo


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