2024年8月14日(水)

BBC News

2024年8月14日

オーストラリアのメルボルン市は13日、レンタルの電動キックボードの禁止を決定した。許容できない安全リスクがあるとしている。

同市の市議会は2022年2月、電動キックボードの導入を歓迎し、2年にわたって試験運用してきた。しかし、これまでに何百件もの事故が発生し、市民から苦情や怒りの声が上がっていた。

市議会はこの日、6対4の多数決で、ほぼ即時の禁止を決めた。電動キックボードのレンタル事業を展開しているライムとニューロンの2社は、30日以内にスクーターを撤去するよう命じられた。

メルボルンのニコラス・リース市長は、一部ユーザーの危険なふるまいに「うんざりした」と述べた。

「あまりに多くの人が歩道で電動キックボードに乗っている。きちんと駐車もしない。そのへんに倒され、紙吹雪のように、ごみのように街中に散乱し、人々がつまずく危険性を生み出している」と、リース市長はラジオ番組で指摘した。

最高時速26キロで走行できるレンタル電動キックボードは、世界各都市で導入されたものの、短期間で廃止されている。仏パリは昨年9月に使用を禁止しており、リース市長は「パリのやり方」をまねしたいとしている。

事業会社のライムとニューロンにはまだ6カ月の運営契約が残っている。両社はここ数週間、熱心にキャンペーンを展開し、利用者に議会へ請願するよう促していた。

両社はまた、キックボードの使用に関する安全性と規制を改善するため、ここ数カ月でかなりの投資を行ってきたと述べている。ニューロンは、キックボードが誤って使われるのを防ぐため、人工知能(AI)を搭載したカメラを設置するとしていた。

同社の広報担当者は13日、市議会の一律禁止を非難。電動キックボードの使用を市内の混雑していない場所に制限したり、乗車ゾーンを設定したりするなどの対策を導入するため、市当局と協議してきたと述べた。

ニューロンのジェイデン・ブライアント氏は以前、豪メディアに対し、「これは州政府が発表した改革を上回るものだ」と語っていた。

「新しいeスクーター技術の導入に関する(別の)提案が、禁止案に変わるのは非常に奇妙なことだ」

メルボルンでは2022年2月の試験開始以来、ライムとニューロンの電動キックボード合わせて約1500台が、市内全域に配置された。

メルボルン市議会は以前、電動キックボードが市の二酸化炭素(CO2)排出量を400トン以上削減し、公共交通機関の利用を促進したと報告していた。

一方で、この計画の欠陥を示す証拠も増えていた。市内の主要病院の一つであるロイヤル・メルボルン病院が昨年12月に発表した報告によると、2022年に250人近いユーザーが負傷し、同院の救急外来を受診した。受診者の大半は、酒酔い運転、スピード違反、ヘルメット未着用などがけがの原因となっていた。

病院の広報担当者によると、電動キックボードの事故は死亡や脳損傷の原因にもなっており、負傷者は主に若年層だという。

(英語記事 Public outrage prompts Melbourne e-scooter ban

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cq5dzzv4wxqo


新着記事

»もっと見る