2024年8月19日(月)

BBC News

2024年8月19日

ウクライナは18日、越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で、セイム川に架かる二つ目の戦略的に重要な橋を破壊したと発表した。橋の破壊はこの1週間で2件目となる。

ウクライナ軍はこの日、橋に攻撃を仕掛ける様子をとらえた空撮映像を公開した。同州の町ズヴァンノイエの近くでセイム川にかかっている橋だとされる。

ウクライナ空軍のミコラ・オレシュク司令官はソーシャルメディアで、「橋がまた一つ減った」と述べた。

ウクライナの越境攻撃は2週目に突入している。ウクライナがロシア領内にここまで深く侵入したのは、2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降で初めて。

オレシュク司令官は、「ウクライナ空軍の航空部隊は精密な空爆により、敵の補給能力を奪い続け、敵対行為の経過に大きな影響を与えている」と付け加えた。

公表された映像では、橋で大きな煙が上がっているのが見え、橋の一部が破壊されているのもわかる。攻撃がいつ行われたのかは明らかにされていない。

ウクライナ軍は16日にも、クルスク州の町グルシュコヴォの近くで、セイム川にかかる別の橋を破壊した

この橋は、ロシア部隊への補給に使われていた。

ロイター通信によると、軍事アナリストらは先に、この地域でロシアが部隊への補給に使っている橋が3カ所あり、そのうちの二つが破壊されたか深刻な損傷を受けていると指摘していた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は17日、ウクライナ部隊がクルスク州での足場を固め、さらにロシアの奥へと展開していると述べた。

18日夜の演説で大統領は、「クルスク州での我々の作戦は、ロシア軍とロシア国家、その防衛産業と経済に依然として損失を与えている」と述べた。

また、「これはウクライナの防衛以上のものだ」とも述べ、その目的は「ロシアの潜在的戦力を可能な限り破壊し、最大限の反撃行動を行う」ことだと語った。

これには「侵略者の領土に緩衝地帯を作る」ことも含まれ、ウクライナへのロシアのさらなる攻撃を防ぐ努力だと付け加えた。

大統領顧問のミハイロ・ポドリャク氏は、ウクライナはロシアを占領する気はなく、ロシアを説得して交渉に入りたいのだと強調した。

一方、ロシア政府派この侵攻を大規模な挑発行為と呼び、「相応の対応」で報復すると宣言した。

ウクライナがさらにロシア西部の領土に侵入する中、ロシア軍も同様にウクライナ東部で勢力を伸ばしており、ここ数週間、村落の領有権を次々と主張している。

ザポリッジャ原発近くで爆撃、IAEAが懸念表明

こうしたなか、国連の原子力監視機関のトップが、ロシア占領下のウクライナにあるザポリッジャ原子力発電所の安全性が悪化していると警告した。

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、引き続き「極めて懸念している」と述べ、原発を守るために「全当事者による最大限の自制」を求めた。

IAEAによると、爆撃の影響は施設のすぐ外側の道路におよんだという。この道路は、原発の維持に不可欠な散水池に近く、唯一残っている高圧線から約100メートルしか離れていない。

同原発は戦争初期にロシア軍に占領され、度重なる攻撃を受けてきた。

ウクライナとモスクワの両政府は先週、原発の冷却塔の一つで火災が発生した後、互いに非難の応酬を行った。

IAEAは、17日の攻撃を誰が行ったかについては言及しなかったが、同原発に駐在するIAEAのチームは、爆発物を搭載したドローン(無人機)によって被害が引き起こされたようだと述べた。

「IAEAのチームは、原発の近くや遠くで、頻繁な爆発音、繰り返される重機関銃やライフル銃の発砲音、大砲の音を聞いている」と、IAEAは声明で指摘した。

同原発は2年以上発電しておらず、今年4月以降は6基の原子炉すべてが冷温停止状態にある。

ロシアは2022年2月にウクライナへの本格的な侵攻を開始し、最近はウクライナ東部でより多くの領土を奪取するためにゆっくりと前進している。

しかし、ウクライナ軍がクルスク州に侵入し、ロシアは衝撃に包まれた。ウクライナ軍は2週間近く、陣地を固めている。

この影響で、数千人のロシア人がこの地域から避難した。

第2次世界大戦後、外国軍がロシア国内に侵入したのは初めてだという。

(英語記事 Ukraine says it has destroyed second Russian bridge

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cn5rkrg10p7o


新着記事

»もっと見る