2024年8月19日(月)

BBC News

2024年8月19日

ヘレン・キャット政治担当編集委員、シャーロット・ローズ政治担当編集委員

英内務省は18日、労働党新政権による戦略見直しの一環として、過激なミソジニー(女性嫌悪、女性蔑視)を過激主義の一形態として取り扱うと発表した。

イヴェット・クーパー内相は、過激主義戦略の再検討を省内に求め、有害な思想がもたらす脅威への最善策を模索するよう指示した。

この分析では、女性に対する憎悪を一つの思想的な傾向として扱う。イギリス政府は、ミソジニーが一部で勢いを得ていると指摘している。

クーパー内相は「インターネットと街中の両方で」、「私たちの地域社会と民主主義の構造そのものを破壊する」過激主義が高まっていると指摘した。

検討会では、イスラム主義と極右過激派に加え、過激なミソジニーや暴力など、より広いカテゴリーに当てはまる信条を含む、幅広い思想傾向の、イギリス国内での高まりを調査する。

さらに、若者が過激化する原因や流れについても分析を進める。

この戦略についてクーパー内相は、「過激派の傾向を把握し、監視する」ことで、人々を過激派から遠ざける方法を探ると説明。「有害で憎悪に満ちた信条や暴力を押し付ける人々を取り締まるために、既存の政策にある穴を特定する」と述べた。

クーパー氏はまた、過激主義に対する対策は近年「ひどく空洞化」していたと指摘した。

今回の見直し作業の内容は、労働党が先の総選挙で公約した新しい過激派対策戦略に反映される。内務省は、イギリス全土で過激派が「拡大し、変化するパターンに対応する」としている。

検討作業は10月までに完了する予定。労働党は7月の政権発足以来、戦略的防衛や歳出、教育課程といった多くの領域で見直しを進めている。

このうち、いくつかの見直しは実際の行動の代替に過ぎないという批判の声もあるかもしれない。しかし労働党は、イギリスでは2015年以来、新たな過激派対策戦略がなく、新たな脅威の評価が遅れていると指摘している。

一方で、イギリス政府がミソジニーを過激主義の一形態と見なしたのは今回が初めてではない。

何年か前から、「インセル文化」と呼ばれる、主に若い男性たちのオンライン活動が懸念されている。インセルはインボランタリー・セリベイト(Involuntary celibate、不本意の禁欲主義者)の略語で、自分たちの問題を女性や「アルファ男性(女性が魅力を感じる男性)」のせいにするインターネット上の男性グループを指す。

2021年8月に英南西部プリマスで起きた当時22歳の男による銃乱射事件は、インセル思想と関連していた。犯人は5人を殺害した後、射殺された。

当時、それ以上の政策措置はとられなかったが、このような事件や、ミソジニストを自認するアンドリュー・テイト氏のようなソーシャルメディアのインフルエンサーの台頭が、新政権に再考を促した可能性がある。

(英語記事 Misogyny to be treated as extremism by UK government

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cevj0ywpldpo


新着記事

»もっと見る