2024年8月17日(土)

BBC News

2024年8月17日

イギリス各地で、7月末のサウスポートでの死傷事件をきっかけに2週間近く続いた暴動で、人種的憎悪をあおるような内容をソーシャルメディアに投稿した男に16日、禁錮3年の実刑が言い渡された。

ソーシャルメディア「X」(旧ツイッター)に9万人以上のフォロワーを持つウェイン・オローク被告(35)は、7月29日にイングランド北部サウスポートのダンス教室で女の子3人が刺殺された事件について、偽情報を投稿した。

さらに、事件をきっかけに北東部サンダーランドで起きた警察と集団との騒乱で、車両が放火されたことを称賛した。

東部リンカンシャー州リンカン在住のオローク被告は16日午後、リンカン刑事法院に出廷し、7月28日~8月8日の間に人種的憎悪をあおることを目的とした文章をオンライン上で公開したことを認めた。

カタリナ・ショリン・ナイト裁判長は、「あなたはほかの人がやっていることに巻き込まれたのではなく、その行為を扇動していた」と被告に語った。

そして、「あなたのような『キーボード戦士』が火に油を注いだ」のだと付け加えた。

ナイト裁判長は、自分の行為は悪い冗談だったとする被告の主張を受け入れず、「どこにユーモアがあるというんですか、オロークさん?」と尋ねた。

判決言い渡しの後、リンカンシャー州警察のケイト・アンダーソン警視正は、同警察は「有害なコンテンツをオンライン上で共有した疑いのある者に対して、迅速かつ断固とした対応を取る」と述べた。

「この対応は、公衆の面前だろうとオンライン上だろうと、誰もが自分の行動について責任を負うことを示している」と、警視正は付け加えた。

どんな内容を投稿したのか

法廷では、被告が7月29日の投稿で、サウスポートの事件はイスラム教徒によるテロ攻撃だったと主張していたことが明らかになった。

オローク被告はさらに、「サウスポートの人々」に対して「路上に出よう」と呼びかける投稿もしていた。この投稿は170万回閲覧された。

また、北西部リヴァプールのカウンティーロード・モスク(イスラム教の礼拝堂)の写真を繰り返し投稿したほか、サンダーランドで放火された車両の写真に添えて「サンダーランドよ、お前ら、さあ続け」と書いて投稿していた。

別の投稿では、「スターマー(英首相)は要するに、こっち対あっちの対立だと言っている。後には引くな」と書いていた。

ほかにも、「数は重要だ」、「お前ら、とことんやれ」などと投稿していた。

オルーク被告のXアカウントには、イギリス国旗柄のジャケットを着たブルドッグのプロフィール画像が載っていた。

被告は、このアカウントに対して毎月約1400ポンド(約26万円)の支払いを受けていたと法廷で認めた。

被告側の主張

被告の弁護人ルシア・ハリントン氏は、被告はこうした内容をけしかけるために、アカウントを開設したのではなく、「メディアの過熱報道に巻き込まれた」のだと主張した。

被告はかつて、小荷物仕分けの仕事をしていたが、パートナーの介護者になるために離職したと弁護士は説明した。

また、被告は現在、自分が間違っていたことを認識し、再教育を受けることを望んでいると付け加えた。

法廷では、被告に犯罪歴はないものの、2018年に詐欺行為で警告を受けていたことが明らかになった。

(英語記事 'Keyboard warrior' jailed for part in UK disorder

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c9wj89dd49no


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