何度見てきたことか。政権運営に行き詰まった現職の総理・総裁が突如退陣表明する場面を。岸田文雄首相が、裏金問題の責任を取って自民党総裁再選を断念した。
前任の菅義偉氏も、不人気から同じ決断を余儀なくされた。わけのわからない理由で政権を投げ出した福田康夫氏もその例だ。民主党政権の鳩山由紀夫氏もそうだった。
岸田後継の予測は困難だが、ひとつだけはっきりしている。新総裁選びの過程、その結果を通じて首相の言う「新生自民党」の姿を示すことができなければ、国民の信頼回復はおぼつかないということだ。
〝ポスター〟を変え、 清新な印象を与えようとしても、旧態依然とした選挙なら、今度こそ国民から見放されるだろう。
名前が挙がる〝常連〟たち
岸田後継については、世論調査の人気レースでトップを行く石破茂元幹事長のほか河野太郎デジタル相、小泉進次郎元環境相の〝御三家〟に、茂木敏充幹事長ら〝常連〟の名前があがっている。
前回出馬した高市早苗経済安全保障担当相、野田聖子元総務相らの名が取りざたされるのも順当だ。若手では小林鷹之前経済安保担当相を担ぎ出す動きも活発化している。
石破氏は、岸田氏の退陣表明直後、訪問先の台北で早々と出馬への意欲を表明した。
これらの顔ぶれでの争いとなるのか、あらたな候補者が登場してくるのか現時点では予測が困難だ。自民党が変わったという印象を与えるために、選挙戦がどのような形式、選出方法で行われるのか、やはり注視しなければならないだろう。