ジョナサン・ヘッド、タンヤラト・ドクソネ、ケリー・アン
タイ議会下院は16日、前首相が憲法裁判所の解任命令で失職したことを受け、与党第1党・タイ貢献党のペートンタン・シナワット党首(37)を次期首相に選んだ。ペートンタン氏は、大富豪タクシン元首相の次女で、インラック元首相のめい。
議会下院の首相指名選挙で選ばれたペートンタン氏は、タイ史上最年少の首相になる。女性のタイ首相は、ペートンタン氏のおばインラック・シナワトラ氏に続く2人目。
タイの憲法裁判所は14日、セター・タウィーシン首相に対し、即時解任を命じる判決を言い渡していた。実刑判決を受けたことのある人物を閣僚に任命したことが、憲法に定められる首相の道徳規範に違反するという判断だった。
セター氏もペートンタン氏も、タイ貢献党に所属。同党は2023年5月の総選挙で2位になったが、同年9月に同党中心の連立政権が発足した。
過去20年間でシナワトラ一族の一員がタイの首相になるのは、ペートンタン氏で4人目。
ペートンタン氏が首相に選ばれた経緯は、タイで選挙によって選ばれる政府の権限がいかに制約されているかを示す。
父タクシン元首相やおばのインラック元首相を含め、他の3人はいずれも軍事クーデターや憲法裁の決定で首相の座を追われた。
15日にタイ貢献党の候補に選ばれた際、ペートンタン氏はセター氏の功績をたたえ、解任は残念だと述べていた。
「私たちはこの国を前に推し進めると用意がある。そうすると決意しているし、やる気にあふれている」と、ペートンタン氏は15日に記者団に話していた。
ペートンタン氏はタイの名門校やイギリスの大学で学んだ後、シナワトラ一族のレンデ・ホテル・グループで何年か働いた。夫はそのグループの投資事業で副責任者を務めている。