2024年8月15日(木)

BBC News

2024年8月15日

インド西ベンガル州のコルカタで先週、国営病院の研修医が、病院内でレイプされ殺された。この事件を受け、同州では14日、数万人の女性たちが抗議デモを行った。

被害者の31歳の研修医は9日、RGカー医科大学で36時間の過酷な勤務の後、休憩室が足りなかったため、代わりにセミナー室で眠った。

翌10日、同僚が演壇の上で、この研修医の遺体を発見した。半裸で全身に傷が残っていた。

この事件に関連し、病院のボランティア職員が逮捕されている。

コルカタでは事件が明らかになって以降、強い抗議行動が続いている。14日に夜に行われた「夜を取り戻せ」デモでは、ソーシャルメディアでの呼びかけに応え、同市だけでなく西ベンガル州の各地で女性たちが、雨の中を行進した。

一連の抗議は、事件への当局の対応に対する怒りによっても膨らんでいる。

警察は容疑者を逮捕したものの、事件の隠蔽(いんぺい)や、捜査上の怠慢があったとして批判を受けている。その後、事件は地元警察からインドの連邦中央捜査局に移管された。

真夜中過ぎに13歳の娘を連れてデモ行進に参加した女性は、「大規模な抗議行動で物事を正すことができるかどうか、娘に見せたい。自分の権利を自覚させたい」と話した。

別の女性は、「女性は尊重されていない」、「私たちの価値は牛やヤギ以下だ」と語った。

ある学生は、「いつになったら(女性たちは)独立を得られるのか? 恐れずに働けるようになるまで、あとどれくらい待たなければならないのか? あと50年?」と問いかけた。

抗議デモはほぼ平和的に行われたが、研修医が殺害された現場であるRGカー病院では、病院内に侵入し、救急部門で略奪行為をはたらいた男性の集団と警察が衝突した。

警察は、群衆を鎮圧するために催涙ガスを発射した。一方で、警察車両も被害を受けた。

このほか、デリー、ハイデラバード、ムンバイ、プネーなどインドの各都市でも、小規模の抗議デモが行われた。

コルカタでのデモ行進は、リソースはわずかだが、綿密に組織されたようだった。主催者は案内の中で、女性だけでなく、社会的に少数派の性的指向やジェンダーアイデンティティー(性自認)を持つ人々の参加を歓迎した。

また、「男性はアライ(理解・支援者)やオブザーバーとして歓迎する」とした。

一方、政治家は歓迎されないことを強調したほか、抗議行動に政党の旗を持ち込まないよう要請した。

インドで「夜を取り戻す」行進が行われたのは、これが初めてではない。

1978年にはボンベイ(現在のムンバイ)で、路上で女性がレイプされた事件に抗議する同名のデモ行進が行われた。これは、他国の女性たちが公共の場を安心して歩く権利を主張して行ったデモ行進に触発されたものだった。

(英語記事 India women lead night protests after doctor's rape and murder

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c8rxk63xngpo


新着記事

»もっと見る