2024年8月17日(土)

BBC News

2024年8月17日

ウクライナ軍は越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で16日、セイム川に架かる戦略的に重要な橋を破壊した。

ロシア当局も、クルスク州の町グルシュコヴォ近くでのウクライナの軍事作戦で同地域の一部が寸断されたことを認めたと伝えられている。

この橋は、ロシア軍部隊への補給に使われていた。破壊されたことで、ロシア軍の活動が妨げられる可能性がある。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ部隊がクルスク州で陣地を強化していると述べた。また、自軍が掌握したロシア領土は「為替資金」だとし、ロシア軍が占領したウクライナの複数地域と交換できる可能性を示唆した。

ウクライナの越境攻撃は2週目に突入している。ウクライナがロシア領内にここまで深く侵入したのは、2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降で初めて。

この突然の越境作戦を受け、これまでに12万人以上が安全な場所へと避難している。

ウクライナはロシア領土の一部を掌握したと主張する一方で、ロシア領土を占領するつもりはないと繰り返し主張している。

「ウクライナはロシア領土の占領に興味などない」と、ミハイロ・ポドリャク大統領顧問は16日に述べた。

ポドリャク氏は、ロシアに侵入した重要な目的の一つは、「我々の思うように」ロシア側に交渉させるためだとした。

「公平な交渉プロセスに入るようロシアを説得するために、軍事的手段が客観的にどのように使われているか、その様子がクルスク州ではよく分かる」とポドリャク氏はソーシャルメディアに投稿。ウクライナ政府は「効果的な強制的手段」を証明していると述べた。

ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は16日、自軍の攻撃でさらに進展があったと述べた。

「攻撃部隊は戦闘を続け、前進している。いくつかの地域では敵がいる方向へ1~3キロメートル進軍した」と、ソーシャルメディアに投稿された動画の中で、ゼレンスキー大統領に報告した。

シルスキー総司令官は、国境から約13キロのクルスク州マラ・ロクニャ村での戦闘で、「大勢を捕虜」にしたいと述べた。

ウクライナの進軍が続く中、ウクライナと国境を接するロシア・ベルゴロド州の当局は、19日から5カ所の村を対象に避難を実施すると発表した。

同州のヴャチェスラフ・グラドコフ知事はメッセージアプリ「テレグラム」に国境近くの小さな集落の名前を複数あげ、「8月19日から、五つの集落への立ち入りを禁止し、住民を避難させ、財産を持ち出す手助けをする」とした。

ロシア軍もウクライナ領内で前進

ウクライナがロシア西部の領土にさらに入り込む一方で、ロシア部隊も同様にウクライナ東部で進展をみせている。

16日にはロシア政府が、自軍がセルヒイウカを占領したと発表した。ここ数週間、ロシア部隊がウクライナの町を占領したとの主張が続いている。

直近の進軍で、ロシア軍はウクライナ東部ポクロフスクに接近した。この街は東部の前線沿いにいるウクライナ部隊に物資を供給する主要道路上にあり、重要な兵站(へいたん)拠点となっている。

ポクロフスクはロシアが支配するドネツク州の北西に位置する。同州は16日朝からウクライナ軍の攻撃を受けており、市民数人が負傷している。

ポクロフスクの軍政当局のトップ、セルギー・ドブリャク氏は15日、ロシア軍が「急速に郊外に接近している」として市民に避難を促した。

これに先立ち、ドネツク州のロシア支配地域にロシアが設置した当局者は、少なくとも7人が負傷したショッピングセンターへの攻撃をめぐり、ウクライナを非難した。

ドネツク州でロシアが一方的に「編入」を宣言した自称「ドネツク人民共和国」を率いるデニス・プシリン氏は、16日正午ごろからドネツク市が砲撃を受けているとしている。

ロイター通信はドネツクの地域責任者の話として、過去24時間に市民3人が死亡し、5人が負傷したと報じた。

2014年にロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアでは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に命じられて建設された橋を狙ったミサイルが複数飛来したが、夜の間に撃墜されたと、ロシア国防省はテレグラムで発表した。

ロシアが軍事侵攻を開始して以降、ウクライナはクリミアのケルチ大橋への攻撃を試み、実際に何度か爆撃に成功している。

(英語記事 Ukraine incursion destroys key Russian bridge

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2l0v9870go


新着記事

»もっと見る