2024年8月31日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2024年8月31日

 21年6月、日本外務省は知的交流事業の成果を発表したが、中国の小説家・蒋方舟(ジャン・ファンジョウ)もその一人であることが明記されていた。これに目を付けたネットユーザーが批判をはじめた。

 そして、20年7月放送のNHKスペシャル「巨龍・中国が変えゆく世界 “ポストコロナ”を迎える市民は」での蒋のコメントが中国批判だという話になり激しく炎上。現在にいたるまで蒋は公開の場に姿を現していない。

 瞬間炎上社会でリスクを回避するため、中国の文化人やインフルエンサーは細心の注意を払っている(が、それでも完全には回避しきれない)。たとえば福島原発事故の処理水問題だ。

 中国ではインフルエンサー経由での宣伝と販売が主流。しかし、ほとんどのインフルエンサーは昨夏の処理水放出から3カ月ほどは日本商品の宣伝を引き受けなかった。その後、世間の空気を読みながら次第に宣伝量は回復していったが、この間にかなりの消費者が中国製品に切り替えた。

 今や「処理水? なんだっけ、それ」という忘れられた話題となりつつあるが、それでも一度切り替えた消費者を取り戻すのは難しい。処理水のことを忘れていても、別のブランドを試して不満を感じなければそのまま移行してしまうからだ。

 化粧品大手・資生堂は処理水放出が始まった23年第3四半期から中国市場での売上はマイナス成長が続く。中国経済減速の影響もあるとはいえ、一度失った消費者を取り戻し切れていないとみられる。

注目を集めたSNSの投稿

 不安定なキャリア、リスクと比べて恵まれない待遇に不満を感じていたKは、日本での生活をあきらめて帰国することを選んだ。その前に自爆的な不適切発言をかまして立ち去ったのではないか。

 8月26日、中国のSNS「ウェイボー」に、「元NHK中国籍職員」との肩書きのアカウントが出現した。K本人のアカウントと推測され、大きな注目を集めている。

 現在までに2回の書き込みを行っているが、自らの動機を説明するものではなく、ポエムのような内容だ。1回目の書き込みでは飛行機の窓から撮影した、夜景の写真とともに「あらゆるコメントには反応しない。すべては22秒(の不適切発言)に濃縮した。すべての真実と真相、過去、現在、そして未来もだ」とつづっている。

「元NHK中国籍職員」による1回目の書き込み(筆者提供、以下同)

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