2025年1月7日(火)

Wedge REPORT

2025年1月5日

 平成生まれの若い世代の方には想像がつかないだろうが、「昭和」という時代の大晦日は、家族そろって「紅白歌合戦」を観ながら年越し蕎麦を食べ、除夜の鐘が中継される頃には床に入る。そして迎えた新年を雑煮で祝い、最初の日曜日には夜8時から家族そろって「大河ドラマ」を観る――かつてそんな時代があった。

 その大河ドラマも今年(2025年)で64回目を数え、1月5日には横浜流星が〝江戸文化の仕掛人〟蔦屋重三郎を演じる「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第1回が放送される。筆者は『江戸の仕掛人 蔦屋重三郎』(ウェッジ刊)という本を書いたばかりなので、ドラマがどういう描き方をするのか、視聴者の反応はどうなのか、大いに関心がある。

 ということで、お屠蘇気分が抜けきらない今回は、「過去の視聴率」と「蔦屋重三郎(蔦重)」にふれつつ、今後の大河ドラマに期待したいことを筆者なりに綴ってみた。

口上を述べる蔦屋重三郎(山東京伝『箱入娘面屋人魚』、1791年、国立国会図書館蔵)

かつて視聴率40%目前の時代があった!

 2024年の大河ドラマ「光る君へ」(全48話)の年間平均視聴率は10.7%で、前年の「どうする家康」11.2%を下回り、2019(平成31/令和元)年の「いだてん」に次ぐ〝歴代ワースト2位〟を記録してしまった(ビデオリサーチ調べ(関東地方)、以下同)。

 筆者はかなり以前から「大河ドラマは、戦国物や幕末維新物が定番化したが、卑弥呼、聖徳太子、紫式部などほかにもいるだろう」と主張してきたので、紫式部を取り上げた勇気には拍手喝采を送りたいし、「べらぼう」で初めて商人(蔦重は本屋)を取り上げるチャレンジングな姿勢も評価したい。

 問題は視聴率で、長期低落傾向をたどっており、2010(平成22)年の福山雅治主演の「龍馬伝」(18・7%)以降、20%を切るのが常態化している。そういう状況なので、「視聴率40%近い時代があったんだよ。2年続きで」といっても、今の若い世代は耳を疑うのではないか。

 それはいつのことかといえば、〝イケイケドンドン〟の「バブル期」である。1987(昭和62)年の「独眼竜政宗」が39.7%、1988(昭和63)年の「武田信玄」が39.2%。この歴代ワン・ツー視聴率は、ここ3年間の大河ドラマ視聴率を足しても及ばないもの凄さだ。翌1989年1月から「平成」になるので、昭和末期の大河ドラマということになる。

 両番組とも知名度の高い原作者であった。「独眼竜政宗」は大河小説『徳川家康』で知られる山岡荘八、「武田信玄」は山岳小説でも人気のある新田次郎で、主演は政宗が渡辺謙、信玄は中井貴一だった。


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