2025年1月7日(火)

Wedge REPORT

2025年1月6日

 北欧フィンランドは国土面積33万8440平方キロ・メートルと日本のおよそ9割だが、人口は約560万人。小国ながらも世界の「SDGs(持続可能な開発目標)達成度ランキング」では4年連続トップに輝き、国民一人当たり国内総生産(GDP)は約5.3万ドルで日本よりも上、さらに世界幸福度ランキングでは7年連続1位を維持している。

ヘルシンキ大聖堂から眺める市街の様子。高層ビルが少なく空が広い(筆者撮影以下同)

 また欧州で最もデジタル化が進み、パスポートや運転免許証の更新もオンラインで完了、納税も税務署が必要なデータを揃え控除額なども算定されており、納税者はすでに記入された通知を確認して承認か訂正を申請すれば15分ほどで完了する。

ファッションブランド、マリメッコ

 フィンランドにはかつて携帯電話で世界一のシェアを誇ったノキアや、世界中で愛されるテキスタイルデザインのマリメッコなど、グローバル企業も存在する。スタートアップの育成も盛んで、北欧のデジタル立国として世界中から投資が集まる国でもある。

 しかし、フィンランドがこのように自国産業の育成やデジタル、そして本稿の中心でもある防衛技術などを世界に売り込む背景には、苦難ともいえる歴史がある。そもそもフィンランドは600年にわたり隣国スウェーデンの統治下にあり、現在も公用語にスウェーデン語が含まれる。その後1809年からロシア帝国の大公国となり、独立を果たしたのは1917年だ。

 その後も第二次世界大戦初期にソ連(当時)から侵略を受け、バルト三国は屈したが、フィンランドは独立を守るための「冬戦争」を起こした。善戦むなしく敗れ、領土を割譲することになったが、その後も「継続戦争」を行いソ連に徹底抗戦した。

 戦後はロシアとの貿易が全体の3割近くを占めるなど、両国間の関係は緊密であり、フィンランドは95年に欧州連合(EU)に加盟したものの、北大西洋条約機構(NATO)には加盟しなかった。


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