2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年9月26日

 ザンビアは重要鉱物加工と銅への新規投資を望んでいる。ザンビアとタンザニアを結ぶ鉄道を 10 億ドルをかけて改修する計画では、中国投資家へのコンセッションを通じて資金を調達する予定である。

 このタザラ鉄道計画に立ちはだかるのは地政学だ。改修される路線は 中央アフリカの銅ベルト地帯からアンゴラの大西洋岸を走る米国の支援を受けた鉄道と競争することになる。これまで長い間、中国にほとんど競争相手がいなかった重要な鉱物資源へのアクセスを求め西側諸国がアフリカ指導者に求愛している1つの例である。

 しかし、米国等の活動に比して、中国は、人と人との強い結びつきと、「開発途上国」としてアフリカを支援するという物語を通じて、優位性を保っている。

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見過ごしてならない中国の優位性

 中国が地政学上アフリカを重視する理由は2つあり、第1に資源の確保であり、第2に国際政治における多数派工作である。他方、最近の中国アフリカ関係は、採算の取れない案件への融資の不良債権化や中国の黒字による貿易不均衡の拡大等、中国に対する不満が燻り、また、中国国内の経済停滞もありアフリカ向け融資も大幅に減少となる等、順調という訳ではなかった。

 9月5日から北京で開催された中国アフリカ・サミットは、このような状況の中、中国がアフリカを重視する姿勢を強調し、対アフリカ政策を立て直そうとする取り組みを示すものである。アフリカにとっても、資金需要は旺盛で、米中の対立のいずれかに与することなく双方から支援を得ようとするので、対中関係は引き続き重要である。

 習近平は、今後3年間で3600億人民元(500億ドル強)の資金援助を約束したが、これは、15年及び18年の首脳会合でコミットした600億ドルよりも100億ドル近く減少しており、また、内訳に占める民間投資の割合が増え、融資から投資へのシフトが明白である。

 留意すべきは、習近平のグローバル安全保障イニシアチブ(GSI)を実施するためとして10億元(約1.4億ドル)の軍事援助、軍人6000人、警察官1000 人を訓練し、500人の将校を中国に招待する旨表明している点である。サミットには、スーダンからイラン等が支援するスーダン軍事政府首脳が出席し2国間会合も行われていることから、中国が軍事援助でスーダンの内戦に介入する可能性も排除できない。

 解説記事が末尾で指摘しているように、中国が欧米に対してアフリカの友人としていくつかの点で優位性を保っていることにも留意が必要であろう。歴史的に中国は反植民地主義の立場からアフリカ諸国を支援してきたことは事実であり、また、内政干渉も行わないとし、欧米の様にクーデター政権には援助を停止するといったこともなく、さらに市場経済ではない強権的政府主導型の経済発展を中国の成功例としてアフリカが学ぶべきとの立場である。


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