2024年10月8日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月8日

 ③第三に、イスラエルによる通信機器を利用したヒスボラ攻撃のような攻撃に備えるために、中国製品や部品を排除するための輸入制限措置が今後一層広がる可能性が高いと思われる。その場合、中国企業のサプライチェーンに組み込まれているASEANの企業も影響を受けることとなろう。

さらに必要な3つの視点

 米国とASEANとの関係を考える上で、さらに3点指摘しておきたい。

 1つ目は、一部のASEAN諸国(インドネシア、タイ、マレーシア)によるBRICS加盟の動きである。インドネシアは、昨年の一時期、BRICS加入に興味を示していたが、最終的にはジョコ大統領の意向により参加を辞退した。ただし、今年になって、タイとマレーシアが新たに加盟申請を行っており、11月のロシアでの首脳会議での取り扱いが注目される。

 2つ目は、Lowy instituteが9月に公表したアジア太平洋諸国27カ国の国力ランキングでは、1位米国、2位中国、3位インド、4位日本で、日本は初めてインドに抜かれた。また、国力を計る8つの指標(①経済力、②軍事力、③外交的影響力、④文化的影響力、⑤経済関係、⑥軍事的ネットワーク、⑦危機対応力、⑧将来の資源)の内、中国が米国に勝ったのは、外交的影響力と経済関係の二つの項目であった。

 3つ目は、ASEAN事務局が7月に公表した23年の外国直接投資統計(JETROビジネス短信7月5日付)によると、ASEANへの主要投資国・地域として、米国が首位、年額は743億ドル(前年比2.5倍)、構成比で32.4%と圧倒的存在感を示した。22年のASEANへの投資国の1位は米国で約366億ドル(構成比16.3%)であった。記事にあるLowy instituteとの違いの理由は明確にできなかったが、ASEAN自身の統計では、直近2年の米国による対ASEAN投資は非常に大きい。

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