中国や北朝鮮の行動を見れば、安倍総理が様々な改革を行い、米国との防衛協力をより緊密化しようというのは当然のことである。だが今回の靖国参拝は、彼の政策と戦前の帝国主義へのノスタルジアを結び付けて見せてしまうものであり、安倍氏は自分で自分の首を絞めてしまっている。
中国は、靖国参拝を、防空識別圏設定に対する批判を反らすために使うであろう。韓国の朴大統領は、安倍氏と会わず、関係改善をしないという彼女の立場を補強することとなろう。
結果、オバマ政権は、沖縄基地問題で前進があったにもかかわらず、公的に安倍氏の行為を非難することを余儀なくされた。
安倍総理の行動は、地域で日本を孤立させ、米国との協力をより困難なものにしている。
12月26日付New York Times紙
安倍氏の究極的な目標は、占領期に米国が起草した平和憲法を改正することである。天皇陛下は、このことに難色を示している。安倍氏の靖国参拝の数日前、天皇陛下は80歳のお誕生日の談話の中で、「平和と民主主義という貴重な価値」を守った戦後憲法起草者へ深い感謝の念を述べている。
もし歴史が問題なのであれば、中国と韓国の指導者は東京を訪れ、安倍氏と会談し、問題解決のために交渉すべきである。それを拒否するのは、安倍氏に願望を成し遂げる許可を与えるようなものである。また、日本の軍事的冒険は、米国の支援によってのみ成り立つ。米国は、安倍氏のアジェンダが地域の国益にならないことを明確に伝えるべきである。アジアには国家間の信頼が必要であるが、安倍氏の行動は信頼を蝕むものである。
* * *
安倍総理の靖国参拝について、現在の米国務省内にこのような批判的な論調があることは想像できましたが、上記3社説で注目すべきことは、Wall Street Journalも含めて米国ジャーナリズムが、国務省の立場に同調していることです。
このことは、日本が、第二次世界大戦の敗戦国としての負い目を今でも背負い続けていることを示すもので、日本としては、そうした国際環境のあることを認めざるを得ないということです。
他方、今回の靖国参拝が今後日本を取り巻く国際情勢、日本の外交にいかなる影響をもたらすかについては、ほとんど悪影響は無いと予想されます。